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 EUからの離脱を問う英国の国民投票は、離脱派と残留派の運動が過熱している。勢いを増す離脱派の中核は、経済のグローバル化による恩恵を感じられず、「移民に職を奪われる」と感じる人々だ。EUを「官僚主義で、足かせになっている」と嫌う保守層も加わり、大きなうねりとなっている。

 残留派議員に対する銃撃事件が今後のキャンペーンに何らかの影響を与えるのは必至とみられるが、これまでの各種世論調査では、離脱派の伸長ぶりは明らかだ。イブニング・スタンダード紙電子版は16日、態度未定の人を除くと離脱派は53%で残留派の47%を6ポイント上回るとの最新の数字を報じた。

 大きな争点の一つが移民問題だ。離脱派のジョンソン前ロンドン市長は14日、EU域内からの移民が賃金減少をもたらしていると主張した。EUの「人の移動の自由」によって東欧・南欧から流入する安い労働力との競争にさらされている層へのアピールだ。

 一方で、自分たちが理想とする「グローバル化」にとって、EUが障害になっていると批判する一派もある。ダンカンスミス元保守党党首らは16日、保守系紙デイリー・テレグラフへの寄稿で、「我々は19世紀に自由貿易思想を生んだグローバルな国だ」として、貿易交渉権をEUから取り戻そうと訴えた。新自由主義を奉じる富裕層や、大英帝国の栄光に郷愁を抱く高齢者に響いている。

 「主権を我が手に取り戻せ」という自国中心的な主張や、グローバル化の現状に批判的で内向きな志向を強めるという点は、米大統領選で排外的な言動を繰り出す共和党のトランプ氏の支持層と重なる。(ロンドン=梅原季哉