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 広い田園地帯を抱える愛知県日進市は一方で、名古屋市や同県豊田市のベッドタウンとして人口が毎年約1千人ずつ増えつつある。ここに、限られた人生の残り時間を心穏やかに過ごそうとする患者に寄り添う終末期ケアを施す病院がある。

    ◇

 病室の窓からは、鮮やかな新緑や季節ごとの美しい花が見え、明るい日が差し込む。

 愛知国際病院ホスピスは1999年4月、同市米野木町の同病院の敷地内に、県内で初のホスピスとして建てられた。

 市内に住む河野文恵さん(52)は、2002年9月に母親を、11月に父親を、ここで相次いで見送った。

 母親はホスピスに入院する前からすでに意識はなく、誰が話しかけても反応しなかった。しかし、かわいがっていた飼い猫をホスピスに連れて行き、枕もとに近づけると、その鳴き声にまぶたが動いた。

 「自宅にいると思ったのか、あの時の反応には家族みんなが驚きました」

 1週間ほどして、母は71歳で逝った。

 それから約1カ月後、今度は大腸がんが肺に転移していた父親の病状が悪化した。自分のことは自分でできていた父親は、母の仏壇に参ってからホスピスに向かった。

 毎日、病室に通った河野さんは、午後のティータイムにボランティアによってもてなされるコーヒーや紅茶を、父親と楽しんだ時間が忘れられない。

 「父の表情も優しく、本当に穏やかな時間でした」

 3週間ほどの入院生活で父は74歳で亡くなった。

 「徐々に弱っていく両親と過ごした最期の日々は、お別れのための準備期間だったと思う」と河野さん。「医師も看護師も、本当に丁寧に接していただき感謝しかありません」

 ここでは、個室の病室を患者や家族の意向を第一に、できるだけ「自宅」に近づける。その人らしく生を全うしてもらうためだ。

 面会時間に制限はなく、病室か…

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