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 英国は23日、欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票を行い、即日開票の結果、離脱票が残留票を上回った。28カ国からなるEUから脱退する初の加盟国となる。第2次世界大戦後、拡大と深化を続けてきた欧州統合は、歴史的な転換点を迎えた。残留を訴えていたキャメロン首相は24日、辞意を表明した。

 選挙管理委員会が24日に発表した開票結果によると、「離脱」は1741万742票(51・9%)、「残留」は1614万1241票(48・1%)、無効票が2万5359票だった。投票率は72・2%で、昨年5月の総選挙の66・1%を上回った。

 国民投票は、与党・保守党の党首を務めるキャメロン氏が2013年に公約に掲げた。ユーロ危機のあおりで不況が続き、反EUの声が高まったことが背景にあった。最近では、後からEUに加盟した東欧諸国などからの移民が増え、社会保障費が減らされ、職を奪われるという危機感も国民に広がっていた。

 投票に向けたキャンペーンでは保守党が分裂。ボリス・ジョンソン前ロンドン市長ら離脱派は、移民問題に焦点を絞り、「EUにとどまる限り移民は減らせない」と主張した。EUから出て、英議会の主導権を取り戻すべきだとも説いた。

 一方、キャメロン氏ら残留派は、「離脱は国民の家計にしわ寄せが行く」と経済面での悪影響を説いた。オバマ米大統領ら各国首脳も残留を呼びかけた。投票日1週間前の16日に残留支持だった女性下院議員の射殺事件が発生。残留派が巻き返したものの、離脱派の勢いは衰えなかった。

 最大野党の労働党は残留支持を掲げたが、党内をまとめ切れていなかった。労働党支持者が多く、残留派が多いとみられていた中部の工業都市ニューカッスルでは残留が50・7%、離脱が49・3%と伯仲。日産自動車が工場を置く近郊のサンダーランドでも離脱が61・3%を占めた。

 自ら率いた残留派の「敗北」を受けて、キャメロン氏は24日朝、「英国民は別の道を進む決断をはっきり下した。新しいリーダーシップが必要だ」と述べ、10月の党大会をめどに辞任する意向を表明した。EUとの間で行う離脱協定の締結に向けた交渉は、後継の新首相に任せるという。

 EU基本条約の規定では交渉期間は2年だが、延長もできる。過去に離脱例がなく、具体的な手続きには不明な部分が多い。

 また、英国は欧州の単一市場へのアクセスを失うため、改めてEU側と関税などの貿易協定の交渉をすることになる。

 EU離脱の結果を受けて、残留派の多い英北部スコットランドでは、英国からの独立運動が再燃する可能性もある。(ロンドン=渡辺志帆

■英国民投票の結果

●離脱 1741万0742票(51.9%)

●残留 1614万1241票(48.1%)

・無効    2万5359票

 投票率 72.2%