ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)生存者の作家で、ノーベル平和賞を受賞したユダヤ系米国人のエリー・ウィーゼルさんが2日、死去した。87歳だった。ニューヨーク・タイムズによると、マンハッタンの自宅で亡くなったという。

 ルーマニア出身で、15歳の時にナチスドイツによってアウシュビッツの強制収容所に送られた。両親は収容所で死亡し、自らは死に直面しながら生き残り、戦後はホロコーストの記憶を伝えることに尽力した。アウシュビッツでの体験を元にした代表作の「夜」は全世界で1千万部以上が売れたとされる。1950年代に米国へ移住し、63年に市民権を取得した。

 ほかの人権問題についても積極的に発言を続け、ノーベル賞選考委員会は86年に「人類へのメッセンジャー」と評価して平和賞を授与した。受賞にあたっての演説では「記憶を生かし続ける努力をし、忘れようとする人たちと戦ってきた。なぜなら、私たちが忘れたら、我々は有罪で、共犯者だからだ」と述べた。(ボストン=中井大助