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 子育て支援をめぐる参院選の論戦で、与野党の理念の違いが鮮明になってきた。各党とも保育所の待機児童解消を掲げるが、自民党は子育て世代の「自助」を求め、民進党は「共助」を重視する。根底には、国と国民との関わりをめぐる考え方の対立がある。

 安倍晋三首相(自民党総裁)は5日、新潟県長岡市で訴えた。「保育の受け皿をしっかりと作っていく。民主政権時代の倍以上のスピードで整備してきたが、まだ不十分だ」

 2月、保育所の選考に落ちた保護者がつづったとみられる「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名ブログが関心を集めた。待機児童問題が改めてクローズアップされるなか、各党は参院選で子育て支援策を競い合うように訴える。だが、公的支援のあり方には理念の違いも浮かび上がる。

 自民の稲田朋美政調会長は4日、札幌市での講演で、安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」について言及。財政難で政策には優先順位が必要として「あれしてくれなきゃ活躍できない、これしてくれなきゃ活躍できないと。それもできないなら日本死ね、なんて言っている場合じゃない」「私たちは国だけに任せるんじゃなく、自分だけが幸せじゃなくて、みんなが幸せで初めて幸せだと感じられる民族だ」などと語った。

 稲田氏は5日、この発言について「待機児童を念頭に言ったのではない。待機児童問題はしっかりやっていかないといけない。絶望せず、みんなで助け合う社会が1億総活躍社会という趣旨だった」と説明した。

 こうした「自助あっての共助」という考え方は安倍首相らに共通する。首相は2013年2月の施政方針演説で「誰かに寄りかかる心を捨て、それぞれの持ち場で、自ら運命を切り開こうという意志を持たない限り、私たちの未来は開けません」と訴えた。

 これに対し民進党は参院選公約で「共生」を掲げ、旧民主政権時には「社会全体で子育て」を打ち出し、子ども手当を導入した。

 2月の国会審議で匿名ブログの訴えを取り上げた民進の山尾志桜里政調会長は5日、松山市での演説で「安倍政権の『子育て支援を頑張る』との言葉は口先だけで中身は空っぽ。自分の努力で何とかしてみろというスタンスは私たちとは違う」と強調。蓮舫代表代行も、名古屋市での演説で「子育てや介護は社会全体で支えていこうと政治は変わってきた。自己責任ということで、今また女性に押しつけられようとしている」と批判した。

 一方、公明党の山口那津男代表は保育の受け皿拡大を主張し、先月22日の演説では「若者や女性がもっと活躍できる社会の基礎を築いていく」と訴えた。共産党の志位和夫委員長は3日、京都市での演説で「認可保育所や保育士の数が足りない。国の責任で30万人分の認可保育所をつくっていく」と述べ、待機児童の解消は主要な課題との考えを示した。

 ただ、各党幹部らは選挙戦で、保育環境整備に向けた財源確保の具体策を示していない。保育室の広さや保育士の配置基準など「保育の質」をどう確保するかについても、踏み込んだ議論は見られない。

■9党の待機児童対策に関する参院選公約

自民:保育の受け皿を2017年度末までに50万人分増やす

民進:保育士らの月給を5万円引き上げ、保育の質と量を確保

公明:小規模保育や事業所内保育などの新たな受け皿を拡大

共産:30万人分(約3千カ所)の認可保育所を緊急増設する

おおさか維新:保育所を自治体の基準で柔軟につくれるようにする

社民:認可保育所の大幅増、保育士の月給の5万円引き上げ

生活:保育士育成の充実、待機児童ゼロをめざす

日本のこころ:育児休暇制度の充実、保育士への支援拡大

改革:幼稚園・保育園の増設、無料化の検討