[PR]

 札幌市厚別区で昨年7月、特別養護老人ホーム「光生舎ゆいま~る・もみじ台」がオープンした。しかし当初予定していたショートステイを本格的に始めることができたのは半年以上経ってから。理由は人手不足だった。

 国が示す基準「入所者3人に対し職員1人」は満たしていた。しかし施設を運営する法人は安全と十分なサービスを確保しようと、入所者2人に職員1人を置いた。定員80人の特養を優先すると、ショートステイに職員を回せなかった。「待っている人が大勢いるのは承知していたが、安全性やサービスの質を考えると無理はできなかった」と、施設の総合管理者の渡辺靖洋さん(37)は説明する。

 「ゆいま~る・もみじ台」がある地域は、65歳以上の高齢者が約4割を占める。特養への入所を希望しながら待機している人は、札幌市全体で4700人(昨年末現在)にのぼる。

 団塊の世代が75歳以上となる「2025年問題」もあと9年に迫る。厚生労働省の推計によると、このままでは25年に道内で約1万2千人の介護人材が不足するという。

 道老人福祉施設協議会の瀬戸雅嗣会長(55)は介護現場について、人手不足で職員への負荷が大きいために若手を育成しにくく、負担が軽減されずに離職が相次いでいると指摘する。「悪循環を断ち切るには、長期的な視点に立ち、ゆとりを持った人材確保策が必要だ」と訴える。

 安倍晋三内閣が6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」には、介護職員の処遇を月額平均1万円相当上げることが盛り込まれている。だが同月に「世界経済が不透明感を増している」として、消費税率10%への引き上げを2年半再延期することを決めた。安倍政権は処遇改善などは実施する方針で、民進党や共産党も同様の公約を掲げるが、増税分は社会保障費に充てる計画だっただけに、「様々な施策の財源の手当てがつかなくなる」と懸念する声が出ている。

 その一方で、介護サービスの抑制や負担増の動きも出てきている。昨年から特養に入所できるのは原則として要介護3以上の人に限られるようになった。一定以上の所得がある人が介護サービスを受ける時は、自己負担が1割から2割に引き上げられた。このために本当にサービスを必要とする人が受けられなくなって「潜在化」してしまうのではないかとの指摘もある。

 瀬戸会長はこう話す。「人材育成には時間がかかる。財政状況が改善して対象やサービスを拡大しようとしても、人が足りなければ話にならない。消費増税の再延期で社会保障施策への影響が指摘されるが、潜在化した要介護者への対応も含め、経済に左右されてはならないと思う」

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。

初月無料につき月初のお申し込みがお得

980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら