天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を示している天皇陛下が、宮内庁が今年に入って公務軽減を検討した際に受け入れず、「象徴としてふさわしいあり方」ができないのであれば生前退位もやむを得ないとの意向を話していたことが宮内庁関係者への取材で分かった。

 関係者によると、天皇陛下は年齢に伴って自らの体力的な衰えを感じるようになり、先々務めを果たせなくなることを見据え、数年前から、皇太子さまに皇位を譲渡する意向をごく近しい人たちに述べるようになったという。宮内庁側はこうした意向を受けて内々に検討を進め、天皇陛下の体調や公務負担の現状などを首相官邸に報告してきた。

 天皇陛下は82歳、皇后さまは81歳。両陛下は高齢ながら、昨年皇居で要人や海外からの来客らと面会したのは約270件、地方などへの訪問も75回を数えるなど激務が続く。宮内庁関係者によると、天皇陛下は「できなくなったのならともかく、できるうちは天皇としての務めを果たしたい」という趣旨の内容を繰り返し、周囲に語っていたという。

 関係者によると、天皇陛下は「生前退位」の意向を皇太子さまにも示し、「憲法に定められた象徴の立場をしっかり受けとめて欲しい」との思いを強く持っているという。

 天皇陛下は2012年12月の会見で、自らの公務について「今のところしばらくはこのままでいきたい」と言及。「私が病気になったときには、昨年のように皇太子と秋篠宮が代わりを務めてくれますから、その点は何も心配はなく心強く思っています」と語っていた。一方、昨年12月の会見では「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」と語った。

 天皇、皇后両陛下は14日夕、静養先の葉山御用邸(神奈川県)から皇居に戻った。御用邸を出発する際、待ち受けた人たちに笑顔で手を振った。(島康彦、多田晃子)