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 熊本地震の本震から3カ月となった16日、東京都知事選で主な候補者が災害対策の訴えに力を込めた。首都直下地震で大きな被害が想定される地域の人たちは、一日も早い備えにつながる政策論争を期待している。

 「今日は、大変悲惨な熊本の地震が発生して3カ月」。16日、東京都渋谷区で増田寛也氏が訴えた。「東京以外で発生したら救援に向かい、東京にも救援に来てもらう。相互連携が非常に大事だ」。首都直下地震では首都圏で約61万戸の家屋が焼失・倒壊するという試算を挙げ、木造住宅密集地域の不燃化や耐震化のスピードアップを公約に盛り込む。

 小池百合子氏も墨田区で「私は阪神大震災を経験した。地震で電信柱が倒れると、救急車や消防車が通れなくなる。東日本(大震災)でも熊本(地震)でも見た。無電柱化を進めていこう」と呼びかけた。町会と消防団の機能強化、熊本地震でも注目された乳児用の液体ミルク普及も掲げている。

 鳥越俊太郎氏はこの日、足立区などで演説した。防災には触れなかったが、公約では「耐震化・不燃化の促進、帰宅困難者対策で災害に強い東京をつくる」と主張。耐震化助成を広げて、住宅の耐震化率を100%にすると訴える。

 品川区の東急大井町線戸越公園駅。駅から徒歩数分の豊町4丁目は、幅2メートルほどの道路に木造住宅が密集する。町会長の唐沢英行さん(75)は「火事が起きたら消防車も入ってこられない」と話す。町会では、防災広場の倉庫にミニポンプを3台常備し、火災の際は防火貯水槽から放水する。消防団とは別に約20人がポンプを使った訓練もしている。

 ただ、唐沢さんは「住民としてできることには限界がある」と言う。木造住宅には空き家も多く、迅速な整備には行政の力が欠かせない。都知事選を報じるテレビを見る限り、具体的な政策はあまり聞こえてこない。「耐震診断や不燃化は、もっとスピードアップして取り組んでほしい」と注文をつけた。

 政府による首都直下地震の被害想定で、東京都の死者は最大で1万3千人に上る。特に危険を抱えるのが、古い木造住宅が狭い道沿いに密集している地域だ。想定では、こうした地域を中心に都内約1200カ所で同時出火し、火災による死者だけで8400人に及ぶとされる。

 都は、燃えにくい街づくりに向けて、53地区約3100ヘクタールを「不燃化特区」に指定。古い住宅の解体費用を全額補助するほか、燃えにくい建物に建て替えた場合の固定資産税を5年間免除してきた。

 ただ、高齢の住民が改築を嫌がったり、権利関係が複雑だったりすると住民同意を得るのは困難だ。中林一樹・明治大学特任教授(都市防災論)は「相続者も巻き込んで世代を超えた建て替えを検討してもらう工夫が必要。そのためには、地域の活性化とセットで考える必要がある。新しい都知事には、五輪後を見据え、災害に強く魅力ある街づくりのあり方を構築してほしい」と語る。

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