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 ロシアによる国家ぐるみのドーピング隠蔽(いんぺい)問題で、国際オリンピック委員会(IOC)は24日、電話会議による緊急理事会を開き、ロシア・オリンピック委員会を資格停止処分とはせず、ロシアの選手が一定の条件の下に8月のリオデジャネイロ五輪に出場できることを決めた。各国際競技団体がその条件を満たしているかどうかを判断する。

 ロシアのムトコ・スポーツ相は24日の記者会見で、IOCの決定について「感謝する」と評価する考えを示した。さらに、各競技団体がロシア選手の参加を最大限認めることへの期待を表明した。

 世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームがロシアの国家ぐるみのドーピングを明らかにし、WADAが全面締め出しを勧告したことで、IOCはロシア選手団全体のリオ五輪出場停止を検討。焦点となったのは、国または団体の責任を、ドーピング検査で陽性反応を示していない個人に負わせるのが適切かどうかだった。

 IOCのトーマス・バッハ会長は「中身と時間的な問題があり、難しい決断となった」と話す。ロシア側は理事会で、反ドーピング体制を再構築する姿勢を示したほか、この半年はロシア国外の機関がドーピング検査を行い、3千件以上の検査でほとんどが陰性だったことを報告した。

 IOCは、WADAの報告書でロシア・オリンピック委員会が組織としてドーピング隠しを行っていたとは指摘されていないことを考慮。また、WADAの調査が「短期間で行われ、表面を触っただけ」としていることから、調査を引き続き行うとともに、個々の選手に出場の可能性を与えることが必要だと判断した。

 ロシアの選手がリオ五輪に出場するには、国内の検査機関ではなく、国外の信頼できる検査機関の検査結果などの証拠を提出する必要がある。審査は各国際競技団体に委ね、IOCが最終的に参加を認める。出場が決まった選手は抜き打ちのドーピング検査を追加で受ける必要があり、受けなければ出場資格を失う。

 競技別では、陸上は既にロシア選手団の欠場が確定しており、国際重量挙げ連盟はロシア選手団の締め出し方針を発表した。一方、今回の決定前に、国際体操連盟は「すべての競技のロシア選手を出場停止とすべきではない」。国際柔道連盟もビゼール会長名で「ロシアは柔道の歴史に非常に大きな役割を果たしてきた。潔白なロシア選手の出場を認めることで若者に肯定的なメッセージを送れる」との声明を出している。(ロンドン=河野正樹、モスクワ=駒木明義、阿久津篤史)