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 要介護度が低い「要支援」向けサービスの一部が、全国一律の介護保険サービスから市町村が運営する事業に移りつつあります。地域で高齢者を支えて、膨らむ介護費用を抑えるためです。担い手に期待されているのが、地域の住民らのボランティアです。「善意」のボランティアに、介護行政の一端を担ってもらうことはできるのでしょうか?

■「地域支援事業」の現実

 元看護師の榎尾(えのお)光子さん(64)は手応えを感じた。最高齢のツタエさん(89)は片足立ちが5秒伸びて9秒できたし、レイコさん(76)は、2分間の足踏み運動で8回多くできた。

 鳥取県日南町湯河地区。蟬(せみ)しぐれの山の向こうは広島県だ。この日、集会所に9人が集まった。毎週火曜日の午前中に体操したり、おしゃべりしたりする。体力測定は3カ月ぶり。榎尾さんはボランティアの地区代表だ。参加者は多いときで15人。要介護度が低い「要支援」のお年寄り2人も参加する。

 介護保険制度の見直しで、町の「住民主体の地域支援事業」が昨年4月に立ちあがった。その事業の受け皿だ。町から運営補助も受ける。

 町の病院を昨年退職した榎尾さんの肩書は「婦人部長」「支え合い部長」「認知症地域支援推進員」……。そして町の介護サービス運営を引き受ける立場にもなった。「これからは地域にお返ししないとね」。榎尾さんは言うが、「地域の仕事」は増える一方だ。

 要支援向けサービスの一部が段階的に、全国一律の介護保険サービスから市町村独自の「地域支援事業」に移行している。介護予防の取り組みも含めて来年度から全市町村が取り組む。サービスの担い手には、資格のあるヘルパーなどだけでなく一般住民も加わる。「地域の支え合い」で介護費用を抑制するためだ。

 日南町では、33の自治会のうち22で事業の受け皿となる住民の会ができた。主力は70代だ。町の担当者には不安もある。「今は順調だが負担は大きくなる。いつまで継続できるか」

 大阪府茨木市にある高齢者の交流施設「街かどデイハウス 山手台ななつ星」。高齢の利用者24人がパッチワークなどに興じるかたわら、ボランティア6人が調理や片付けに忙しい。

 この施設の運営を担うのは地区の「福祉委員会」。民生委員や自治会から選ばれた60代後半の住民が中心だ。今は介護予防に活用されているこのデイハウスは今後、市の要支援向け施設となる。市は「住民が支え合う理想的な形となるだろう」と歓迎する。

 ただ、ボランティアの対価は1時間300円。利用料(1回300円)収入や、市から年間約300万円の補助金があるが、「利用者のために使うことが第一」と、対価を抑えた。「お金は問題じゃない」と話すボランティアもいる。だが、地区の福祉委員長の吉田宏一さん(74)は「要支援も入れば、もっと払うべきかもしれない」。

 一方、東京都練馬区では、ボランティア色は薄くなっている。要支援者の家事を支援する住民は時給千円以上の労働対価を得る。最低賃金を上回る水準だ。そのために必要な区の研修では、50人の募集枠に子育て世代ら230人が応募した。担当課長は「きちんとした対価を支払えば、若い人も呼び込める」という。

 一歩先を行く町がある。長崎県…

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