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 安倍晋三首相は71回目の終戦の日を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式の式辞で4年続けてアジア諸国への加害と反省に触れなかった。一方、昨年と同様に不戦の決意を表明。来年以降も同じ姿勢を堅持する構えで、歴代の首相と一線を画す「安倍カラー」を定着させる考えだ。

 追悼式は日本武道館(東京都千代田区)で開かれ、遺族ら5333人が参列。安倍首相は「皆様の尊い犠牲の上に、私たちが享受する平和と繁栄があることを片時たりとも忘れない」と述べ、「戦争の惨禍を決して繰り返さない」という不戦の決意を強調した。

 アジア諸国への加害については、細川護熙首相が1993年に初めて「哀悼の意」を表明。翌年に村山富市首相が「深い反省」を加え、その後の歴代首相は踏襲してきた。2007年の第1次安倍政権では安倍首相も「我が国は、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」と述べた。

 だが、第2次安倍政権発足後の13年夏に向け、安倍首相は「誰のため、何のために開く式なのか抜本的に考え直して欲しい」と官邸スタッフに指示。参列者が遺族中心のため「アジアへの謝罪はなじまない」(官邸幹部)として、加害や反省を消した。歴代首相が繰り返した「不戦の誓い」という表現もなくした。

 昨夏に有識者の意見を踏まえて閣議決定した戦後70年談話では、歴代内閣の方針を引用する形で「痛切な反省」などを盛り込んだ。その翌日の首相式辞は不戦の決意を復活させる一方、加害や反省には触れない形式とした。政府高官は今年の追悼式後、この形式を今後も続ける意向を示した。

 この日の追悼式では、正午の黙禱(もくとう)に続き、天皇陛下は「おことば」で昨年から使い始めた「深い反省」という表現を選び、「戦争の惨禍が再び繰り返されないこと」を切に願うと述べた。(久永隆一)