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【2014年8月4日朝刊 科学の扉】

 海面の観測データから海中に魚が多く潜む場所を探し出したり、無人で夜中にトラクターを走らせて畑を耕したり。人工衛星からの情報を漁業や農業に活用する技術の開発が進んでいる。宇宙の利用が身近な産業にも広まっている。

 深い海にいる魚の群れを宇宙から探す技術が実用化された。

 漁業情報サービスセンター(東京)は6月、水深数百メートルを泳ぐメバチマグロやアカイカがいると考えられる場所を漁船に知らせるサービスを始めた。

 漁船に伝えるのは、海面から水深300メートルまでの海水温の分布図。漁師が漁場探しで重視するのは海水の温度。魚によって好む水温が違い、温かい海水と冷たい海水がぶつかる潮目にはえさのプランクトンが豊富だ。

 漁業で衛星利用が本格化したのは80年代。漁船が水温計で測っていた海水温を衛星の赤外線観測で調べられるようになった。海面近くにいるサンマ、カツオ、イワシ、アジなどの漁場探しに使われているが、もっと深いところを泳ぐメバチマグロなどを探すには、衛星が観測できる海面の情報で海中の温度を推定する方法が必要だった。

 そこで着目されたのが、海面の高さ。温かい海水は体積が膨張して海面が盛り上がる。海面高度が高ければ、その下に温かい水があるはずで、海面の温度が周辺と同じなら、海中に温かい水があると推定できる。

 センターは、漁船に計測器を投下してもらって海中のデータを集め、衛星で得た海面の高さとの関係を分析。海面が周辺より盛り上がった海域の深さ200~300メートルには、メバチマグロが好む水温16~17度の温かい部分があることを突き止めた。

 同センターの為石日出生・専務理事は「漁場があらかじめ分かれば、探し回る手間が省け燃費の節約になる」と話す。マグロはえ縄漁の漁船は衛星データ利用後で、平均16・1%を減らせたと試算する。

無人トラクター

 朝、目が覚めたら無人トラクターが畑を耕し、種まきも終わっていた――。

 こんな未来を実現しようと、北海道大や農業・食品産業技術総合研究機構は、無人トラクターの実証試験を進めている。

 無人走行を支えるのは、トラクターが現在いる位置を精密に測定する衛星の測位技術だ。カーナビなどに使う全地球測位システム(GPS)は、最低5~6メートルの誤差は出るが、2010年に日本が打ち上げた準天頂衛星「みちびき」が発信する補正信号を使えば、衛星電波の受信機を備えたトラクターの位置の誤差は10センチほどに収まる。

 野口伸・北海道大教授(農業情報工学)によると、田畑の種まきには誤差を3~5センチに抑える必要がある。最初は人間が運転するトラクターが追尾したり、併走したりして安全面に配慮するが、将来は完全無人走行をめざす。

 効率よい作業で燃料を節約でき…

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