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■甲子園観戦記

 今日もいっぱい入ってますなあ。今大会の経済効果を計算して、7月に344億3897万円と発表しました。高校生の大会としては驚くべき数字ですわ。

 一回表、作新学院はワンアウト一塁で3試合連続ホームランの入江君。ここで盗塁か。おっ成功。仕掛けてきましたな。ほら、この積極性が2点先取につながった。

 1961年、和歌山県立桐蔭高校2年の夏、野球部が甲子園で準優勝したんです。生物部の私も5試合とも駆けつけました。熱烈な阪神ファンだから来たことはあったけど、高校野球は初めて。応援しだしたら、学校では仲が悪い同級生とも肩を組んで喜びあう。あの一体感はすごい。応援側も幸せになれるのが甲子園や。高校時代の最高の思い出になりました。

 大阪府立大で教えてた2003年に「阪神優勝の経済効果」を発表しました。学生が経済に親しみを持ってくれたらと、ゼミ生と取り組みました。星野仙一監督の2年目で、開幕から絶好調やったから、間もなくデータ集めを始めました。学生たちは阪神百貨店のタイガースグッズ売り場でお客さんに調査。「いくら使いましたか」「優勝セールがあったら来ますか」といった質問をしましてね。

 集めたデータから計算して、私たちは7月に1481億円と発表しました。めでたく優勝し、その12月に関西社会経済研究所が「阪神タイガース優勝の直接効果」を発表しました。いくつかのシンクタンクの試算より、私らの方が実際の数字に断然近かったですよ。

 これがウケて、依頼が来るようになりました。「石川遼選手の~」「くいだおれ人形の~」「AKB48の~」……。未発表のも含めて100種類ぐらいやった。データ集めの苦労はありますけど、日本が明るくなるような発表ができたらと思って、頑張ってます。

 不祥事について計算してくれとも頼まれるけど、しません。反省してる人に追い打ちかけるのは、私の主義に反するから。ただ、今年はじめにSMAPの分裂騒動があったとき、解散した場合に失われる経済効果について計算して、636億円と発表しました。「大損失やから解散したらあかん」という願いを込めたんやけど……。

 予想外の大差で作新が勝った。明徳もようやったで。拍手や。大観衆の中で大好きな野球をやった選手たちも、アルプススタンドで必死で応援してた子も、いまはまだ気づかんやろうな。でもいつか「青春のいちばん大きな出来事だった」と思う日が来るよ。(構成・篠原大輔)

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 みやもと・かつひろ 関西大・大阪府立大名誉教授。1945年、和歌山県生まれ。専門は理論経済学。「阪神優勝の経済効果」を皮切りに数々の経済波及効果を試算、発表し「経済効果の匠(たくみ)」と呼ばれる。

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