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 今回から慢性腎臓病と腎不全について、計8回にわたって取り上げます。慢性腎臓病とは、尿の異常(たんぱく尿や血尿)、あるいは腎機能の低下(正常の60%未満)が持続する状態の総称です。腎不全は腎機能がさらに低下して十分な尿がつくれず、体の水分や電解質に異常が生じ、尿毒素がたまってくる状態を指します。腎不全では血液透析や腹膜透析、あるいは腎移植が必要になります。

 腎臓の働きは加齢とともに徐々に低下しますが、腎臓に病気があると、そのスピードが速くなります。日本では人口の高齢化で成人の8人に1人、1300万人が慢性腎臓病を持ち、32万人以上が透析療法を受けています。

 腎臓は、体内の老廃物の排泄(はいせつ)、水分や電解質バランスの維持を目的として尿をつくります。それ以外にも腎臓は、血圧の調節、赤血球を造るホルモン(エリスロポエチン)の分泌、骨やカルシウムの調節(ビタミンDの活性化)、薬剤の排泄など、多くの働きを担っています。したがって腎臓に病気があると、複数の異常が、少しずつ重なって起こります。例えば高血圧、動脈硬化、貧血、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などが、腎機能低下とともに起こります。さらに慢性腎臓病が進むと心不全、認知症や骨折の危険性が上がることも分かっています。

 腎臓病は初期、軽度の腎機能低下の段階では、自覚症状がほとんどないままに進行していることが多い病気です。腎不全に至る原因は糖尿病による腎障害(糖尿病性腎症)、腎臓の炎症(糸球体腎炎)、腎臓の動脈硬化(腎硬化症)の三つが主なものと考えられていますが、他にも様々な原因があります。腎臓病は早期発見し、適切な治療を行うことで進行を止める、あるいは遅くすることができます。早期発見のために尿検査や腎機能検査で判定する必要があります。通常の健診項目に含まれていますので、毎年の健診を確実に受けることが重要です。

<アピタル:医の手帳・腎臓病>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(新潟大学大学院医歯学総合研究科 成田一衛教授(腎・膠原病内科学))