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 国連事務総長を「ばか」と呼び、暴言でオバマ米大統領との会談をおじゃんにする。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ新大統領(71)の言動が物議を醸している。9月末にはナチス・ドイツの大虐殺(ホロコースト)を持ち出し、「私も麻薬中毒者を喜んで殺したい」と発言。4日には、またオバマ氏を「地獄に行け」とののしった。変わり者に見えるが、国内人気はきわめて高い。なぜなのか。

 「中国が支配する島の近くに水上バイクで行き、旗を立てる」「犯罪者は殺してマニラ湾の魚のえさにしてやる」。昨年11月下旬、他候補より遅れて大統領選に立候補したドゥテルテ氏は、過激な発言で国民の心をつかみ、今年5月の選挙で大勝した。

 もともと名物市長だった。検察官を経て1988年、「犯罪撲滅」を掲げ、強盗や殺人が頻発していた南部ミンダナオ島ダバオ市長に当選。大型バイクを乗り回し、犯罪者の射殺も辞さない取り締まりで「ダバオのダーティハリー」と呼ばれた。市長を務めた計22年間で同市を「フィリピンで最も安全な都市」にしたと胸を張る。ドゥテルテ氏は関係を否定するが、「安全」の裏には犯罪者を法で裁かずに殺す「暗殺団」の存在があるとも指摘される。

 大統領になっても麻薬取り締まりに強硬な手法を持ち込んだ。麻薬で人生を壊された人たちを、ダバオで目の当たりにしたのがそもそものきっかけと言われる。「最初の半年はかなり血なまぐさいことになる」と宣言した通り、6月30日の就任以降、すでにフィリピン全土で1375人の麻薬犯罪の容疑者が警官に殺害された。取り締まりの際、容疑者から命に関わる抵抗にあった場合は警官も攻撃でき、罪に問われないとされているためだ。このほか自警団による殺害や売人同士の「口封じ」によるとみられる死者は2250人にのぼる。

 裁判を経ずに容疑者が殺される事態を国連や欧米諸国は「人権問題だ」と批判する。だが、市民の受け止めは少し違うようだ。マニラのタクシー運転手、ビリャーさん(47)は「麻薬中毒者だから殺されても仕方ない。おかげで運転手仲間から強盗被害を聞かなくなった。ドゥテルテは解決策を出してくれる」と評価する。30代の男性は「麻薬、渋滞、貧困をなくすと政治家に聞かされ続けたが、何も変わらなかった。ドゥテルテならできる」。

 調査会社による7月初旬のドゥテルテ氏の支持率は91%。フィリピン政治に詳しい高木佑輔・政策研究大学院大学助教授は「彼は地方でキャリアを積んだ政治家。マニラ出身の特権層が支配してきた政治に反感を持つ人たちの共感を得たのではないか」。

 演説をすればきわどい冗談を織…

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