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 「熊本地震」という言葉と一緒に、どんな語句がインターネットで検索されていたのか――。その「第2ワード」の傾向を、熊本と全国とで比較してみた。今年4月の地震発生から半年間の変化をみると、熊本での検索ワードからは、被災地ならではの関心の移ろいが浮かんできた。

■6月から増え始めた「半壊」

 検索大手ヤフーが分析した。

 【熊本地震 ○○】

 人々が熊本地震に関連した検索をした際、「○○」にどのような語句を入れていたのかをみた。月ごとに、とくに多かった語句を抽出した。

 その結果、6~8月に目立って多かったのが【半壊】だった。

 自宅の修理などに公的な補助が出るかどうかは、「半壊」と認められるかで決まる。被災者にとっては、切実な線引きとなる言葉で、そのニーズの変化が検索結果にも表れていた。

 東北大学災害科学国際研究所・佐藤翔輔助教は、検索された語句について「その時の感情が言葉になりやすいツイッターと比べ、被災者のニーズが具体的に表れやすい」と指摘する。そのうえで、「語句だけに注目するのではなく、『半壊と認められるには?』など、文章で検索された例を抜き出すことで見えてくるニーズもあるのでは」と話す。

■関心減った時期の検索語句ほど切実

 地震から3カ月たった7月以降、「熊本地震」とあわせて検索された語句は、その種類が極端に少なくなった。「熊本地震」そのものの検索数も、一番多かった5月9日を100とした割合が、7月は10から20となり、1桁にまで下がる日も少なくなかった。

 一方で、【義援金】【医療費免除】【グループ補助金】などの語句は、7月以降も高い関心を維持していた。

 佐藤助教は「関心が低くなった時期でも検索されていた語句には、被災者の切実なニーズが表れる」と指摘する。

 また、佐藤助教は検索語句だけでなく、ユーザーの行動履歴にも注目する。

 「どのページをクリックした後に検索をやめたのかがわかれば、より具体的なニーズが見えてくるのではないか」

 検索サービスでは、ある語句を検索すると、関連性が高いページが上から並ぶ。ただ、災害時にしか検索されないような特殊な単語は、システムにもデータの蓄積がないので、検索の精度は落ちてしまう。

 被災者がいくつものページにアクセスしているようなケースでは、それだけ強く情報を求めていたことがうかがえる。

■検索データをどう活用するか

 こうして「被災者のニーズ」が浮かんでくる検索データを、次の災害時に生かすことはできないのだろうか。

 佐藤助教は、被災地以外で、リアルタイムに分析する仕組みを提案する。

 大規模な災害が発生すると、被災地の自治体では断続的に対策会議が開かれる。初期のころは1日に複数回あることも少なくない。

 会議では短時間で様々なことを決めていかなければならない。佐藤助教は「このときにリアルタイムの検索データを共有できれば、肌感覚で下している決断に妥当性を与えることができる」と指摘する。

 一方で、自治体の担当者は、被災現場からの情報や、県や国との調整などに追われ、検索データの分析までカバーすることは負担が大きいのも事実だ。

 「東京など被災地以外のオフサイトで検索データの分析をしてもらい、変化を可視化してもらう。リアルタイムで重要な語句を抽出するシステムがあってもいい」

■自治体関係者と考える場を

 佐藤助教は「今後必要なのは、検索データが『使える』ということを、実際に災害対応をする自治体関係者に理解してもらうことだ」と強調する。

 「災害で打撃を受けるのは、人口が少なく、ネットとの縁もない地域が多い。ITの専門家だけで議論を進めても、被災者の助けにつながりにくいのが現実。被災者の検索の動きと、行政側から被災者への情報の流れを検証し、不足している部分を可視化する。その上で、実際にどんなことに役立てることができるかを、現場の自治体関係者と話し合う場を作ることが必要だ」(奥山晶二郎