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 欧州連合(EU)離脱を進める英国のメイ政権の姿勢に対し、金融市場が神経質な反応を見せている。外国為替市場では、英通貨ポンド売りが止まらない。EUとの緊密さを保って単一市場への参加継続を望むよりも、移民規制を優先する「ハード・ブレグジット(強硬なEU離脱)」に対する国際経済の懸念を表したものといえそうだ。

 11日のロンドン市場では一時1ポンド=1・22ドル台まで下がった。6月の離脱決定前に比べると2割弱低い水準だ。対円でも売りが強まる。東京市場では7日、対ドルでわずか2分間で6%ほども急落する事態が発生した。コンピューター取引で何らかの事情で一斉に売りに出されたことが発端になった可能性が指摘され、中央銀行のイングランド銀行(BOE)が原因を調査しているものの、ポンド下落に対する市場の警戒感を示すものとして大きな注目を集めた。

 こうした懸念が生じるのは、与党・保守党大会でのメイ首相らの発言から、EU離脱によって英国への経済的な悪影響は不可避だとの見方が強まったためだ。

 保守党大会は5日まで中部バーミンガムで開かれた。閉幕演説で、メイ氏は「ごく普通の労働者階級の人たちのための政府」という言葉を繰り返し使った。

 6月の国民投票で勝利した約1700万の「離脱票」について、グローバル化の恩恵から取りのこされ、移民に仕事を奪われる不安を抱えた労働者階級らが政府に突きつけた、「特権階級だけが恩恵を受ける社会への拒絶」ととらえたものだ。

 メイ氏は、故サッチャー元首相が推し進め、キャメロン前首相も踏襲した「小さな政府」や市場重視の新自由主義経済との決別も示唆。労働者の権利の見直しや移民の抑制、住宅建設の促進などを掲げ、企業の経済活動に政府の介入を強める姿勢を強く打ち出した。

 閣僚も同調した。政権ナンバー2のハモンド財務相も、前政権が厳しい緊縮財政で目指した2020年までの財政黒字化の方針を撤回。移民政策を所管するラッド内相は、自国民を十分雇用しない企業を淘汰(とうた)する目的で、企業が雇う外国人労働者の人数を国に申告させる方針を示唆した。

 英メディアは、メイ氏がEUとの融和ではなく、国家主権としての移民規制を優先する強硬路線「ハード・ブレグジット」に傾いていると分析する。「ブレグジット」とは、「英国」と「離脱」という二つの単語を組み合わせた造語で、英国のEU離脱を示す。

 経済界では、国際金融の拠点として発展してきた英国の先行きを危うくするものだ、との懸念が強まる。一つの加盟国で営業許可を取れば域内で自由に営業できるEUの「シングルパスポート」制度をいかして、ロンドンを欧州の拠点としてきた金融機関が多いからだ。英紙タイムズは11日、英政府の試算として「ハード・ブレグジットの場合、英政府の税収が年間で最大660億ポンド(約8兆4千億円)減る」と報じた。

 英産業連盟(CBI)など英経…

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