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 古いがゆえに新しい――。ノーベル文学賞が決まったボブ・ディランさんは1960年代の政治の季節、反体制のメッセージを込めて人気を得た。しかし、彼の詩や音楽はそれほど単純なものではない。歌手が文学賞に輝くという異例の事態はなぜ起きたのか。海外の反応とともに、その本質を読み解いた。

 1961年、フォーク歌手のウディ・ガスリーにあこがれニューヨークへ出てきたディランは、最初、底辺の民衆に心を寄せる抵抗歌を歌っていた。初期の代表作「風に吹かれて」や「はげしい雨が降る」は、黒人の権利向上運動である公民権運動や、キューバ危機に代表される東西陣営の対立など、当時のアメリカの時代状況に連動。明快なメッセージを歌詞に織り込んだ。

 一方、過去の偉大な詩人を読み込み、「歌詞」を「詩」に昇華させていった。たとえば、65年のディランの代表曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」では、歌詞で「ミール(食事)→ディール(取引)→スチール(盗む)→コンシール(隠す)→フィール(感じる)」などと、言葉遊びのような過剰な韻踏みをする。

 これは実は詩作の技術としては少し古くさい手法だ。しかしディランは、過去に学び、独特のしゃがれ声でメロディーにのせ、時に言葉を詰め込んで早口に歌うことで、詩に新しい生命を吹き込んだ。「ディランは詩だけ読んでもだめ。曲だけを聴いても分からない」といわれるゆえんだ。

 重層的な韻を踏むことで、いき…

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