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■京都府立網野高校教員:正田絢子さん(35)

 この夏、自腹でリオデジャネイロに飛んだ。女子58キロ級の伊調馨が五輪4連覇を遂げた瞬間を見守り、直接、お祝いの言葉をかけた。伊調はアテネ、北京の両五輪とも出場を阻まれたライバルだった。「昔だったら想像できないが、やれることはやり切ったから、心からおめでとうと言えた」

 17年前、高校生で初出場したレスリングの世界選手権で優勝。ずっと五輪を目指し、北京では最後、階級を三つ上げてまで出場にこだわった。「無謀だ」との声を耳にしたとき、励まし、練習相手として支えてくれたのが母校網野高校の恩師やレスリング部員だった。2009年、恩返しの思いで京都府のスペシャリスト特別選考枠で保健体育の教員として戻った。部の顧問として恩師とともに指導する。

 遠征で世界各地を旅し、多くの友人ができた。生徒には「広い視野を持つように。網野だけを見るな。頂点を目指している人は全国にいる」と語る。甘えを口にする部員には厳しく指導する。「レスリングはつらい時に一歩踏み出すスポーツ。苦しくても0・5歩でも前へ出ろ」

 今の夢は、自分にはかなわなかった20年の東京五輪に教え子が出場することだ。「みんなに可能性はある」。背中を押す側になった。

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〈略歴〉 大阪府吹田市出身。6歳でレスリングを始め、1999年、初出場の世界選手権62キロ級で優勝。59キロ級で05年から2連覇し、08年にも頂点に立った。

■記者から

 「女子部員には絶対負けへん。負けたら靴を脱ぐ(辞める)」と話す姿、りりしかったです。(文・藤田絢子 写真・伊藤菜々子)

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