壮絶な引き揚げ体験を描いたベストセラー小説「流れる星は生きている」を書いた作家で、山岳小説で知られる故新田次郎さんの妻だった藤原てい(ふじわら・てい)さんが15日、老衰のため死去した。98歳だった。葬儀は近親者で行った。喪主は長男正広さん。

 戦時中、中央気象台(現気象庁)に勤めていた新田さんの転勤で中国東北部(旧満州)へ。敗戦の混乱期、夫と離れて幼い3人の子どもを連れ、苦難の脱出行の末に帰国。遺書のつもりで書いた引き揚げ体験記が1949年に「流れる」として出版され、映画・ドラマ化もされた。

 80年に死去した夫の名を冠した新田次郎文学賞の創設に尽力した。数学者の藤原正彦さんは次男。