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■木製リコーダーをつくる職人 竹山太朗さん(30)

 小中学校の音楽の授業で習うリコーダー。プラスチック製ではなく、木製のリコーダーを数カ月かけて、手作業で仕上げる職人だ。1本約35万円するものもある。カエデなどの木材を円柱に削って穴をあけ、形を整えるために磨いたり、音を調整したりと、製作工程は60以上に分かれている。

 木製リコーダーを専門に製作する楽器製作所の長男に生まれた。すぐに祖父が1951年に創業した家業を継ぐ気にはなれなかった。大学を中退し、現金輸送の警備会社に就職。約3年で辞めた。進む道を考えあぐねてバックパッカーのように約3年間、自転車で国内各地を巡った。北海道の牧場でアルバイトをするなどで食いつないだ。

 30歳を目前に定職に就こうと決意。自分の働く具体的な姿を思い描けたのが、幼いころから身近に接してきた楽器職人だった。「大変な仕事だと逃げてきたが、自分にはこれしかない」

 最近、リコーダーの演奏も習い始めた。吹き方や音色を体で覚えないと、良い音は生み出せない。「腕は小学生レベル」と笑うが、大小様々なリコーダーを吹き、その音色や肌触りを体でつかもうとしている。「5年後には一人前の職人になりたい。いつか、プロの演奏者から指名されるような職人になりたい」

     ◇

〈略歴〉 大阪市出身。大学中退後、会社員などをへて、2015年12月、木製リコーダーをつくる竹山木管楽器製作所(大阪市住之江区)に入社した。

■記者のひとこと

 たくみの技を継ぐ職人としてだけではなく、家業を継ぐ経営者としての成長にも期待したい。(文・写真 近藤郷平)

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