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 トランプ次期米大統領が来年1月20日に就任するまで残り50日。新政権の経済閣僚の顔ぶれがほぼ出そろった。白人労働者層の強い支持を得て勝利したトランプ氏は、雇用拡大が政権の生命線と位置づける。公約に掲げた大型減税や大型インフラ投資をいかに実現し、貿易政策をどう修正するのか、真価が問われる。

 「木曜日はインディアナ州にとって大きな一日となる。我々の企業と雇用を米国に残す」。トランプ氏は29日のツイッターで、こうつぶやいた。

 米メディアによると、12月1日にトランプ氏は、同州にある空調機器大手「キヤリア」の工場を訪れ、同社が決めていた工場閉鎖とメキシコ移転を中止することを発表する。

 同社が工場移転の方針を発表して以来、トランプ氏は選挙期間中から同社を名指しで圧力をかけてきた。キヤリアも29日、ツイッターで「インディアナ州に千人近い雇用を残すことでトランプ次期大統領と合意できたことをうれしく思う」と記した。

 次期大統領が就任前に個別企業の経営に口出しし、「成果」をアピールするのは極めて異例だ。

 大統領選では、かつては製造業や鉄鋼業が栄えたが、グローバル経済の影響で工場が閉鎖されるなど衰退したオハイオ州など「ラストベルト(さびついた地帯)」で、海外に逃げた企業を戻し、雇用を取り戻すなどと訴え、白人労働者の強い支持を得て勝利した。つまり、雇用の確保・拡大は有権者との約束だ。

 トランプ氏は30日、経済政策のカギを握る要職の財務長官と商務長官に、ウォール街出身の側近を充てると発表した。

 公約に掲げた、法人税率を35%から15%に引き下げるなどの大規模な減税や規制緩和など税制改革のかじ取りには、トランプ陣営の「金庫番」で、元ゴールドマン・サックス幹部のスティーブン・ムニューチン氏(53)を起用。トランプ氏は声明で「世界有数の銀行家で、我々の経済政策作りの中心的役割を担った。彼は16億ドルで買った銀行を34億ドルで売った。政権に欲しいのはそのような人間だ」と述べた。

 当初、トランプ陣営は選挙資金で、民主党のクリントン氏の約30分の1しかなかったが、5月上旬に資金管理統括に任命されたムニューチン氏は投資ファンド経営者らと頻繁に接触し、資金力を改善させた。

 大規模減税を行うと財政赤字が膨れあがる恐れがあり、どう切り抜けるかが最大の課題だ。トランプ氏は「中国を為替操作国に指定する」と主張。米国の輸出に不利となるドル高が進むなか、為替政策での対応も注目される。

 一方、トランプ氏は「雇用を奪う」として、環太平洋経済連携協定(TPP)など自由貿易協定を批判した。11月21日に動画で、就任初日にTPPから離脱する考えを表明。今後の貿易政策を担う商務長官に、知日派の著名投資家ウィルバー・ロス氏が起用される。

 ロス氏は1990年ごろ、事業でつまずいたトランプ氏から借金を取り立てる債権者の代表として知り合った。選挙戦で経済政策を助言する顧問を務めた。

 経営に行き詰まった企業の再建を得意とし、ウォール街で「再建王」との異名を取る。トランプ氏は「米国の製造業の擁護者で、企業の成功をどう手助けするかを知っている。今まで会った中で最も偉大な交渉人の一人だ」と評価した。

 ニューヨークで影響力の大きい…

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