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 香川大近くのうどん店「吾里丸」(高松市宮脇町1丁目)が、22日で閉店する。うどん食べ放題や激安の天ぷらなど学生の胃も懐も温め続けてきた。店には閉店を惜しむ学生や卒業生、常連客らが連日詰めかけている。

 香川大正門から「大学通り」を南に400メートルほど進むと吾里丸はある。

 「メンチカツ60円」

 「とり天3個100円」

 店に入ってすぐ並ぶ揚げたての天ぷらは、午後1時過ぎにはさらに10円引きに。「かけうどん」や「カレーうどん」など10種類以上あるうどんも1玉(250グラム)で100円~300円と、驚くほど安い。

 閉店が発表されたのは11月下旬。ツイッターや口コミを通じて学生の間ではすぐに話題となった。

 経済学部の黒川源司さん(4年)は「1回生のときからずっと通っている。学生生活の一部のようで、閉店はさみしい」。船越大和さん(1年)は「週4回は来る。アットホームだし、この値段でこれだけ食べられる店は他にない。閉店後はどこに行けばいいのか」と困惑気味だ。

 吾里丸は店主の片岡誠治さん(54)が15年ほど前に開いた。当時、大学近くのうどん屋が次々と店じまいしていた。片岡さんの持ちビル1階のテナントが空き、「自分でやってしまおう」と思いついたという。

 訪れる客の大半を香川大の学生や職員が占める。店の歩みはまさに香川大との二人三脚だった。

 修業したうどん店で教わった通りに作っていたが、「若い人の好みに合うように」と太めでコシが強い麺に変化。学生の要望でできた新メニューの人気が爆発することもあれば、大学が休校になって早朝から仕込んだうどんが大量に残ってしまうこともあった。

 「とにかく安く、量を多く。これが学生の一番の要望。無視したらここではやっていけない」。260円でしょうゆうどんを食べ放題にしたり、2014年の消費増税の際にはあえて値下げをしたり。地域最安値の自動車教習所と提携して相互サービスを実施するなど、昼食以外でも学生を経済的に支えてきた。

 ただ、店が繁盛するにつれ、片岡さんの労働時間も増えた。母親(84)の介護などとの両立が難しくなり、閉店を決意したという。「心苦しかったけど、もう続けることはできない」。閉店を知った学生が泣きながら店に入ってきたときは、自分も涙を我慢できなくなり、しばらく店の裏に隠れてしまった。

 店内には客が感想や要望を書き込む「ご意見ノート」も設置。片岡さんはほぼ毎日チェックして、返事を書き込む。「ここで恋人募集してもいいですか?」と似顔絵付きで書き込まれれば、「あやしすぎてだれもよってこないよ!!!」。

 たわいないやり取りもあったが、最近は閉店を惜しむ声ばかりだ。「閉店と聞いて大阪からとんで来た」という卒業生や、「SMAPの解散よりさみしい」「やめないで~」という叫び声も。

 片岡さんは次に入るテナントを募集中。「学生の事情もわかる人がうどん屋をやってくれたらうれしい」と話している。(初見翔)