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 聖なるガンジス川の源流、インド・ヒマラヤにそびえるメルー中央峰(6250メートル)。「世界で最も難しい」とされる直登ルートを初登攀(とうはん)した米国隊の山岳ドキュメンタリー映画「MERU(メルー)」が31日、東京、大阪などで公開される。隊員の1人で撮影を担当したジミー・チン監督(43)がこのほど来日。遠征の背景や苦闘、映画の魅力などについて語った。

 メルー中央峰は、最上部に標高差約450メートルの岩壁があり、「シャークスフィン(サメの背ビレ)」と呼ばれる。過去、世界トップ級の登山家の挑戦を何度も退けてきた。2008年、米国隊の3人は最初の挑戦で頂上まで残り100メートルに迫ったが、力尽きて断念。「心が折れた」ほどの敗北感を味わったが、11年に再挑戦し、前回以上の過酷さを克服して「難攻不落」のルートを開いた。

 ジミーさんは、2台の小型カメラを駆使し、登山のもようを撮影した。人間ドラマだけでなく、壮大なヒマラヤの風景も映画の魅力になっている。

 ジミーさんは、同峰の難しさについて「岩登りや氷壁の攻略など様々な登山技術が必要。生活技術も厳しい。垂直に近い壁の中でハンモックのような器具で、隊員が重なり合って寝た」という。岩の割れ目が少なく安全確保の支点を取りづらいため、究極のバランスが要求され、「互いに信頼しあうチームワークで乗り切った」と振り返った。

 同峰は日本ともゆかりが深い。06年、登山家の馬目弘仁(まのめひろよし)さん(47)が4度目の挑戦で仲間3人と、米国隊と別ルートから同峰の第2登を果たした。映画について「直登ルートを開いたジミーさんが、私の登り残した思いを達成してくれたうれしい気持ちと懐かしい気持ちがある」と話した。(近藤幸夫)