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京大助教:東樹(とうじゅ)宏和さん(36)

 地中の生態系は未解明のことが多く、「科学のブラックボックス」と言われる。その姿に迫ろうと、植物の根と、そこに付くキノコやカビが複雑に影響し合う様子の解明に取り組む。

 別々の研究分野で扱われてきた膨大な微生物を相手にするため、異分野の研究者を呼び込むことを心がける。3年前、情報科学の専門家と協力し、全遺伝情報(ゲノム)を分析して微生物を素早く特定する手法を生み出した。根にいる膨大な種類の微生物は、共存しやすい種がグループをつくり、そこに中心的な役割を果たす微生物がいるといった実態の一端を明らかにした。「生態系をデザインし、森林の再生や、水や肥料を効率的に利用できる農業を実現するのが最終目標」と語る。

 研究者を志したのは高校時代。京大に進むと、種子を守るために皮を厚くするヤブツバキと、産卵する穴を種に開けるため口が伸びた昆虫が、競って進化した様子を研究。南ほど競争が激しいことを突き止め、注目を集めた。

 その後、「知られていない世界に突っ込んでみたかった」と地中に目を転じた。生物の活動により大気と土との間を大量の温室効果ガスが行き来している。「温室効果ガスを土に取り込めれば地球温暖化を防ぐ手立てになる。将来の危機への解決策を提案したい」

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〈略歴〉 新潟県出身。京大理学部卒。九州大で博士号を取得後、産業技術総合研究所などを経て、2012年から京大人間・環境学研究科助教を務める。

記者から

 研究を通じて人と人をつなげるのが面白いそうだ。異分野を結ぶハブとして活躍してほしい。(文 西川迅、写真 遠藤真梨)