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 国産漆を保全し、漆の良さをPRしようと、盛岡市の漆精製・漆製品製造会社「浄法寺漆産業」がインターネット上で広く支援者と資金を募るクラウドファンディングで、伊藤若冲の絵を施した自動車ステアリングの制作に挑戦している。「日本文化に欠かせない国産漆に多くの人に関心をもってもらい、国産漆の振興につなげたい」という。

 クラウドファンディングの目的は、漆を施したステアリングの制作費や、完成したステアリングの展示会の経費、そして漆の木の植栽事業の資金を広く賛同者から集めることだ。目標金額は500万円で、今月29日まで募る。

 「漆かき職人不足や漆の木の減少などで危機的となっている国産漆に関心をもってもらおう」と、同社の松沢卓生社長が実用化をめざしている漆塗りの自動車ステアリング制作を思いついた。握ることで漆の滑らかさや温かみを肌で感じてもらえると考えた。イメージ画像を3D技術で作り、それを基に漆職人が漆を塗っていくという。漆絵と、金属粉を施した蒔(まき)絵の2種類で計4本のステアリングを制作する。

 デザインのモチーフは、写実的描写と鮮やかな色使いで知られる江戸中期の画家・伊藤若冲の「鳥獣花木図屛風(びょうぶ)」。2013年に県立美術館で松沢さんが鑑賞し、強烈な印象を受けた。今年10月、来日した米国の若冲作品収集家のプライス夫妻に直接会い、使用の許可を得た。

 完成したステアリングは盛岡市や東京などで開く展示会で披露し、その後は販売も検討する。

 支援者には金額に応じて、展示会の招待券やステアリングと同デザインのオリジナルキーケース、酒器などがプレゼントされる。

 松沢さんによると、国内で使われる漆の98%は中国産で、国産はわずか2%。その7割近くが二戸市浄法寺町産だ。国宝など文化財の修復には欠かせないが、このままでは需要を満たすだけの原料を確保するのも難しくなるおそれがある。

 松沢さんは「少しでも国産漆の生産が安定し、日本文化が後世に引き継がれていくために力を貸してほしい」と呼びかけている。

 詳細はクラウドファンディングのホームページ(https://camp-fire.jp/projects/view/13759別ウインドウで開きます)か、浄法寺漆産業(019・656・7829)へ。(斎藤徹)