[PR]

 認知症の人による事故やトラブルの補償のあり方を検討してきた厚生労働省や国土交通省などによる連絡会議は13日、公的な補償制度の創設を見送る方針を決めた。徘徊(はいかい)中の認知症男性の列車事故で家族が損害賠償を求められた訴訟の最高裁判決を受けて協議してきたが、民間保険の普及や地域での見守り体制整備などで対応できると判断した。

 連絡会議によると、2014年度におきた認知症の人が絡む29件の列車事故のうち、鉄道事業者から回答のあった13件で事業者の損害額は最大で約120万円。また、民間保険を利用したケースでは、認知症の人の加害行為で親族などが個人賠償を負ったのは1社あたり年数件ほど、損害額は数十万円ほどだった。

 これらを踏まえ、13日にまとめた報告書では、損害額が高額となる事案が多発している事実は確認されなかったとし、公的補償制度について「直ちに新たな制度的な対応を行うことは難しい」と結論づけた。

 これに対し、「認知症の人と家族の会」(京都市)の高見国生代表理事は「だれもが起こしうるリスクには公的な補償制度で備えるべきで、今回の結論は非常に遺憾だ。徘徊は予見しにくく、見守りの体制の整備などでは不十分で、民間保険に頼るのは家族など個人の責任を問うことになる」と話している。(水戸部六美、森本美紀)