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第2章「子どもたち」(5)

 「どうやったら事実が出てくるのだろうか」。ワーカー(児童福祉司)のヨシコ(仮名)は少し緊張していた。児童相談所(児相)内で、性的虐待の疑いがあって一時保護している中学生に、事実を確認するための面接をすることになっていたからだ。

 40代のヨシコは虐待対応チームのベテラン。数カ月前には事実確認のための面接の方法について学ぶ研修を外部で受けた。児相の中で3人しかいない、面接のノウハウを知る貴重な人材だ。ただ今回は、ヨシコにとっては性的虐待の事実を確かめる初の実践になる。

 性的虐待の場合、とくに1回の面接で子どもから事実を聞き出すことが重要とされている。子どもの証言は「証拠」となるが、何回も同じことを聞くと、証言が変遷したり、子どもの心の傷をより深くしたりしかねないからだ。

 事前に入手できた情報を総合すると、家族全員が同じ部屋に寝て、女子中学生は父母の性交渉を見たり、父親と一緒にふろに入ったりしているとのことだった。具体的に何が起こっているのか、ヨシコは確かめたかった。

 午後1時半、ヨシコは、一時保護所から連れてきてもらった女子中学生と面接室で向かい合った。誘導尋問にならないよう、「それから?」「その後のことも教えて」などと尋ねて、客観的な事実を引き出そうとした。

 性的虐待は「魂の殺人」と言われる。口止めされ、何が起きているかも最初はわからない。嫌だけど、家族は壊したくない。思い惑う子どもたちから、ワーカーは真実を聞き出さなくてはならない。

 その結果、父親とふろに入って…

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