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 厚生労働省が26日に打ち出した過労死防止に向けた緊急対策は、広告大手、電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労自殺し、9月末に労災が認められたことをきっかけに、緊急にまとめられた。上司によるパワハラが過労自殺の一因になったと遺族側などから指摘されていることも踏まえ、パワハラ防止策も盛り込んだ。

 現在の労働関係法令にはパワハラを規制する条文はなく、労働局がパワハラについて企業に是正勧告をすることはできない。厚労省は昨年5月に企業向けの「パワハラ対策導入マニュアル」を公表して周知してきたが、パワハラを防ぐ効果が出ていたとは言い難い。緊急対策では、精神障害による労災認定が3年間で2件以上あった企業に対して、来年度から「パワハラの疑いがある」との前提で指導に乗り出すことが盛り込まれた。

 電通の本支社や主要子会社が相次いで労働基準法違反で是正勧告を受けていたのに、高橋さんの自殺を防げなかったことを受け、大企業の本社への指導強化にも乗り出す。労働基準監督署の監督指導はこれまで事業場単位で行われてきたが、違法な長時間労働や精神障害の労災認定が複数の事業場であった大企業には、本社への指導が欠かせないと判断した。

 企業がつくる経済団体への働きかけも強める。残業時間の上限を労使で定める協定(36協定)を結んでいない企業への指導や、長時間労働の温床とされる「短納期」の取引慣行の見直しなどへの協力を要請する。(千葉卓朗、河合達郎)