東京都の小池百合子知事が、教育機会の平等化のため私立高校の授業料の実質無償化を検討していることがわかった。世帯年収910万円未満を対象に、都内の私立高の平均授業料の年44万円を国と都で肩代わりする案を軸に、新年度予算に都独自の上乗せ分として新たに約140億円を計上する方針。庁内には慎重論もあるが、小池都政の目玉にしたい考えだ。

 都によると、私立高の授業料無償化は大阪府が世帯年収590万円未満、埼玉県が同500万円未満を対象に実施するなど、全国に広がりつつある。都の案はより対象が広く、「他にない取り組みになる」(都幹部)。小池氏は7月の知事選で、都独自の「給付型奨学金」を公約に掲げていた。

 都立を含めた公立高校の授業料は、民主党政権時代の2010年度に無償化された。都内の私立高校については現在、私立高生の半数の8万5千人程度にあたる910万円未満の世帯を対象に、収入に応じて段階的に国の支援金や都の奨学金を支出している。ただ、私学側からは「公立高と、なお自己負担のある私立高では差がある」と不満が漏れていた。

 今回、都は現在の支給世帯に一律44万円を支出する実質無償化を検討。都内在住の私立高生に、都外の私立高に通う生徒も含める予定だ。都の支出は、現行の給付型奨学金が年約50億~60億円で、新たに約140億円が必要という。

 私立高の授業料無償化は公明党が強く要望しており、小池氏とのつながりはさらに強くなると見られる。ただ、奨学金の拡充について、都庁内や都議会自民党には「多額の税金を使って中間所得層まで無償化することに理解が得られるか」「ばらまきになる」と慎重な声もある。舛添要一前知事も在任中、「給付制は反対。自立の精神がない。もらってそれでいい、ではモラルハザードが起きる」としていた。都予算案は来年1月下旬に公表され、2月から都議会で議論が始まる。(伊藤あずさ)