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 「全身を連動させて使うことで、楽に力が出せ、腰への負担も分散させることができます」と語る介護福祉士の岡田慎一郎さん(44)。岡田さんが提唱する、筋力に頼らない介護術を動画で紹介する第2回「基礎編」では、様々な場面に応用ができる「介護技術三つのポイント」をおさえ、無理なく動きを引き出すコツを学びます。

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 「準備編」では、股関節全体を使って、土台となる下半身を安定させる▽背中と腕とを連動させ、負担をかけず力と動きを引き出す▽上半身と下半身をつなげる適切な体幹部のポジションを意識する。肩の力を抜いてひざと足の付け根を軽く曲げ、骨盤をまっすぐに保つ、といった体作りの手ほどきを岡田さんから受けました。

 基礎編「介護技術三つのポイント」では、(1)背中と腕とを連動させた「抱え方」の技術、(2)相手と自分との骨盤の位置関係、(3)相手に近づき一体化して移動する方法――の三つを、【問題点】【改善方法】の順に学習します。

(1)「抱え方」の技術

【問題点】 漫然と人を抱えようとすると腕力に頼りがちになります。実験として、〈写真1〉のように、相手に全体重でのしかかられると、腕だけの力では対応できません。

 【改善方法】 〈写真2〉のように、手の甲を上にして、片方の手首をつかむやり方を教えてくれました。普通の手の組み方とは逆ですが、「背中の力が腕まで伝わり、負担なく大きな力が引き出せます」と言います。

 ポイントは、肩甲骨の使い方です。両手の甲を内側にして片方の手首をつかみ、両腕を輪のようにします。すると、肩甲骨が左右に広がり、背中に適度な張りが感じられます。この背中の張りが背中と腕とが連動しているサインです。ちょうど、綱引きで言えば綱が張って、力がうまく伝わっていることを示しています。

 岡田さんは「実際の現場では、手の甲を上にして抱えるのはやりにくい」と説明します。〈写真3〉のように、背中の適度な張りを保った状態で、手首だけを内側に返します。手のひらから抱えたこの状態でも、背中と連動した力が引き出せます。

(2)介護をする相手と自分の骨盤との位置関係

 ポイントは、骨盤の位置を、相手より低く保つことです。

 【問題点】 〈写真4〉のように、自分の骨盤の位置が相手の骨盤より高いと、相手が上体を前傾できず、立ち上がり動作が引き出せません。そのまま無理に持ち上げようとすると、相手・介護者ともに負担がかかります。岡田さんは「最悪のパターン」と指摘します。

 【改善方法】 〈写真5〉のように、骨盤の位置を相手と平行か、より低くすることで、抱える際に相手の上体が自然と前傾し、立ち上がる動きを無理なく引き出すことができます。

 ただし、骨盤の位置を低くしたポジションから相手を抱えようとすると、足腰が不安定になる方もいます。〈写真6〉のように、介護する人が椅子に腰掛けた状態で抱えると、安定して立ち上がらせることができます。

(3)相手との一体化

 しっかりと体を寄せて、相手と一体になるように抱えます。体を動かしにくい要介護度の高い人を動かす場面で特に有効です。

 【問題点】 力ずくで持ち上げようとすると、介護する人が腰を痛めるばかりか、相手にも大きな負担がかかります。

 【改善方法】 しっかり骨盤の位置を下げたうえで、〈写真7〉のように、相手との隙間をなくしてぴったりくっつくことで、動きを相手に伝えることができ、動きを引き出しやすくなります。また、脚が拘縮などで動かない人を抱え上げるときにも、有効な技術です〈写真8〉。

 岡田さんは「相手としっかり一体化することで、今まで難しいと思っていた移動が、楽にできるようになります」と話してくれました。さらに「技術を丸暗記せず、大切なポイントを理解したうえで現場で応用していくことが大切です」と助言してくれました。

 最後の「実践編」では、実際の現場で起こりそうな場面でどうするか、介護術を手ほどきしてもらいます。