第28回

 法隆寺からフランスに渡っていた仏さまが里帰りする。それも、寺宝調査の完成を祝うタイミングで。高田良信さんの念願が絶妙な形でかなうことになった。

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 1981(昭和56)年に始まった法隆寺昭和資財帳調査ですが、その編纂(へんさん)には時間的な限度があります。いつ打ち切るか、どこまでするか。絶対完全ということはありません。ひとつの区切りとして、94(平成6)年に完成を祝う「法隆寺昭和資財帳調査完成記念―国宝法隆寺展」を開催することになりました。

 千数百年来の仕事が完成したのだから思い切った出陳をしたいと、寺内に諮り、お許しを得ました。聖霊院のご本尊である聖徳太子坐像(ざぞう)も含め、ありとあらゆる寺宝を出させていただきました。

 念願だったのは、パリのギメ東洋美術館に渡った勢至菩薩(せいしぼさつ)像の里帰りを実現させ、本来安置されていた阿弥陀如来像と並んで展示したいということでした。それが実現したのは大変な喜びでした。2月28日のことです。また、同年末にはお身代わり像を金堂に安置することができました。

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《展示に先立ち、2月24日付の朝日新聞朝刊はこう伝えた。

 盗まれた法隆寺の菩薩像が120年ぶり里帰り

 奈良県斑鳩町・法隆寺の金堂から明治時代に盗まれてパリのギメ美術館で一九九一年三月、百十五年ぶりに見つかった阿弥陀如来座像の両側に立つ脇侍(きょうじ)の一体、「金銅・勢至菩薩立像(せいしぼさつりゅうぞう)」が里帰りし、二十三日、奈良市の奈良国立博物館で荷を解かれた。

 三月一日から同博物館で開かれる「法隆寺昭和資財帳調査完成記念―国宝法隆寺展」で、阿弥陀如来座像、観音菩薩立像(いずれも重文)とともに阿弥陀三尊像として展示される。三尊がそろって公開されるのは、勢至菩薩が姿を消したとみられる一八七六年以来。

 勢至菩薩は高さ約六十センチ。貞永元年(一二三二)、運慶の四男康勝(こうしょう)が造ったと、阿弥陀如来座像の光背の銘文などに記されている。》

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 里帰りの実現に尽力してくれたのは、以前にご紹介したフランス人で日本学の権威であるベルナール・フランクさんでした。

 フランクさんは96年10月に…

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