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 薬剤耐性菌に感染すると、抗菌薬が効きにくくなり、治療の選択肢が限られるようになってしまいます。新時代の代表的な薬剤耐性菌の現状について解説します。

 抗菌薬メチシリンへの耐性を獲得したMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、病院内での感染発症(院内感染)の原因菌として1980年代以降に世界中に広がりました。MRSAが初めて報告されたのは61年で、80年代までは黄色ブドウ球菌にしめる割合も5%前後でしたが、2000年代には50%近くまで増加しました。MRSAは国内で見つかる薬剤耐性菌の95%を占めるとされていますが、近年では各医療機関で感染対策の取り組みが進み、減少傾向になっています。

 MRSAの治療薬であるVCM(バンコマイシン)に対して耐性を獲得したのがVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)です。VREは、VCMを含めほとんどの抗菌薬を効きにくくしてしまうという特徴があります。88年に英国で初めて報告され、欧米諸国で急速に拡大して問題となりました。病院内でのVCMの使用が増えたことなどが原因として考えられています。我が国ではまだ感染の発生は低い状態が維持されています。

 緑膿(りょくのう)菌は、抵抗力の弱った患者の感染症の原因菌となり、特にMDRP(多剤耐性緑膿菌)が問題となっています。全国的には全緑膿菌に占めるMDRPの発生確率は数%程度と低いですが、医療機関によって大きな差があります。

 最近、問題となってきているのが、CRE(カルバペネム耐性腸内細菌)です。カルバペネム系抗菌薬は、幅広い腸内細菌に効果があり、重症な感染症の治療薬として重用されています。この薬を分解する酵素を生み出す遺伝子を獲得した薬剤耐性菌がCREです。健康な人でもCREの保菌者となり、難治性感染症を発症する危険性が指摘されており、対応が求められています。

<アピタル:医の手帳・薬剤耐性菌>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/

(新潟大学医歯学総合病院 田辺喜也 病院教授(感染管理部))