[PR]

 トランプ米大統領が大統領令で、中東・アフリカの7カ国の国民や難民の入国を一時禁止したことを受け、米国内では29日も混乱が続いた。各地の空港ではまだ多数の人が入国できずに身柄を拘束されているとみられ、弁護士らが解放を求めている。抗議活動も全米の主要都市に広がった。

 27日に署名された大統領令は、イラクやシリアなどの国々について90日間にわたって米国への入国を禁じた。100人以上が米国に到着したものの、入国を認められずに身柄を拘束されているとみられるが、AP通信によると具体的な人数や、所在も不明という。

 これまで、ニューヨークの連邦裁判所をはじめ、少なくとも四つの裁判所で大統領令の効力の一部を停止し、拘束された人たちの強制退去を止めるなどの決定が出ている。カリフォルニア州の裁判所は29日、入国が認められずに送還されたイラン人について、米政府が再び連れてきて、入国させなければならないと命じた。しかし、ロイター通信によると、首都ワシントン郊外のダレス空港では、入管職員が拘束されている人と弁護士の面会を認める裁判所の決定に従わないケースもあり、混乱が広がっている。

 大統領令の効力を正面から問う動きも加速している。ニューヨークやカリフォルニアなど15州と首都ワシントンの司法長官は29日、大統領令を「違憲で違法」と非難する連名の声明を発表。「我々が持っているすべての手段を使って、大統領令に対抗し、国家の安全と価値観を保障する」として、無効を求めて提訴することも示唆した。

 29日には、抗議集会も多数あった。ニューヨークの自由の女神の近くのバッテリーパークには数千人が集まり、大統領令の撤回や、難民の受け入れを求めて行進。父親が60年余前、ハンガリーから難民として米国に来たカリナ・エルデエリさん(41)は「父にとって米国は希望の国で、受け入れてくれなければ、私も生まれていなかった。その価値観を手放すことを許さない」と語った。ワシントンのホワイトハウス前にも数千人が集結。「トランプを強制送還」「米国があるべき姿でない」などのプラカードをもって抗議し、「難民を歓迎しよう」と声をあげた。(ニューヨーク=中井大助、ワシントン=杉山正)