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 「震災と霊性」と題し、震災で犠牲になった人に思いをはせるシンポジウムが5日、仙台市の東北学院大であった。震災後の気仙沼市を映像で記録してきた映画監督の堤幸彦さんや大学教授らが、「死者を想うこと」をテーマに語り合い、震災をめぐる心の問題に改めて目を向けようと呼びかけた。

 堤監督は毎年、気仙沼市に足を運び、住民の声を集めてきた。2014年には大切な家族を亡くした人の思いを取材し、作品にした。堤氏は「それまで死者について語ることをタブー視していたところもあった。関わり続けて何ができるのかを見つけていきたい」と述べた。現場にこだわる姿勢を見せ、「それが日本人の責務だと思う」と語った。

 東北学院大の金菱清教授は、大切な人を震災で亡くした人に、亡き人に向けた手紙をつづってもらうプロジェクトを紹介。メディアや研究者ら第三者から受けたインタビューなどでは、礼儀正しい言葉を使いがちで、必ずしも本心が出てこないという。その点、手紙では弱音も含め、魂を揺さぶるような感情が出てくることを説明した。

 岩手大の麦倉哲教授は、「死者と生者の対話」について言及。「夢に出てくる」「気配を感じる」など多様な形で「対話」が続いていると指摘した。そのうえで「死者が容易に忘れ去られていく社会の中で、個別な死に寄り添うことに価値がある」と語った。批評家の若松英輔さんも「同じ悲しみは二つとない。他者と共有できない真実もある」と話し、会場の人たちも熱心に聴き入っていた。(船崎桜)