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 沖縄出身の教育学者で、琉球大教授の上間(うえま)陽子さんが今月、風俗業界で働く女性たちの生き方を、インタビュー調査を通じて描いた『裸足で逃げる』(太田出版)を出した。描いているのは、家族やパートナーからの暴力に日常的にさらされ、その暴力が自明視されている生活を送る女性たち。沖縄での暴力から浮かび上がるのは、「他者の痛みに対する日本社会の感受性の欠如だ」と語る。

 上間さんが2012年にスタートさせた、沖縄のキャバクラやソープランドなどで働く女性たち15人への継続的な調査をもとに、女性の生活史をつづった。昨年4月に沖縄で起きた元米兵が女性を殺害した事件が、本にまとめるきっかけになった。現場は自分がよく知っている地域。「『またか』と。女性への暴力が、なぜ繰り返されるのかを書かないといけないと思った」と話す。

 本に出てくる、現在21~30歳の女性のほとんどは10代で結婚・出産し、そして離婚してシングルマザーとして働く。夜の世界には、早ければ中学生の時には関わり始めている。

 脳性まひの子どもを抱えながら看護師になっていく女性。性暴力の被害に遭い、さらにパートナーの家庭内暴力に苦しむ女性。傷ついていく女性たちの境遇は厳しく、家族や恋人からの暴行で失神して病院に運ばれるというのもめずらしくない。「そうした生活しか選びようがない。体を掛け金のようにして夜の世界で生きている」

 女性の多くに共通するのは「社会に対する信頼感の低さ」だという。

 「手を差し伸べてもらえないことを悟っているから、助けも求めない。同じ境遇の他者に対しても、『自己責任だ』という冷たい視線を向けるし、他人に対して不寛容。(上が下に強いるのではなく)下からの自己責任とでもいうべきことが、社会の一番厳しい層で起きていることを、私たちは黙殺し続けている」

 こうした厳しい現実は、決して…

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