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 故金正日(キムジョンイル)総書記の長男、金正男(キムジョンナム)氏が殺害されたことを受け、韓国政府は15日午前、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、対応を協議した。韓国は金正恩(キムジョンウン)政権による深刻な人権侵害のひとつとして、国際社会に更に強い制裁を呼びかける方針だ。

 黄教安(ファンギョアン)首相(大統領権限代行)は、NSCで「今回の事件は非常に重大だ」と指摘。北朝鮮の犯行と確認された場合、「金正恩政権の残虐性と反人倫性を示すものだ」として、マレーシア当局と協力して真相を究明する考えを示した。

 黄氏は韓国外交安保当局に対し、金正恩政権を根本的に変化させる措置を取るよう、国際社会に働きかけるよう指示。軍に、12日の新型ミサイル発射に続く北朝鮮の新たな軍事挑発に備えるよう命じた。

 日韓関係筋などによれば、マレーシア当局は正男氏の死亡直後、韓国政府に事件を通報。マレーシア駐在の韓国情報関係者が正男氏の遺体と対面し、身元を大筋で確認。14日にかけての最近の動静についても確認し、同日夜、日米など関係国に正男氏殺害の事実を公式に通報したという。

 韓国統一省報道官は15日午前の記者会見で「殺害されたのは金正男氏であることが確実だと判断している」と語る一方、「詳しいことは、関係国の発表後に説明したい」とした。

 ただ、15日朝現在、正男氏を殺害したとされる女2人の行方はつかめていない。北朝鮮メディアは同日午前まで、事件について報じていない。

 韓国政府は、正男氏が「白頭山血統」と呼ばれる北朝鮮指導者の家系である以上、正恩氏の指示や許可なしに正男氏を殺害することはできないとみている。

 韓国政府関係者は15日、「正男氏は既に亡命状態で、死亡によって北の体制に大きな影響はない。北も体制が安定しているからこそ、正男氏の殺害に踏み切ったのだろう」と語った。(ソウル=牧野愛博)