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 知的障害のある40代の男性が、治療の必要がないのに医療観察法に基づき約2カ月間の入院を強いられたとして、国に330万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。13日付。男性側は「無意味な拘束で社会復帰を妨げられた。障害者への差別的な扱いだ」と訴えている。

 医療観察法は、殺人や強盗など重大な刑事事件を起こした人が、責任能力がないとして不起訴処分などになった場合、検察官の申し立てで裁判所と精神科医が入院や通院の必要性を判断する仕組みを定めている。

 訴状などによると、男性は通りすがりの女性を転倒させたとして傷害容疑で警視庁に書類送検されたが、東京地検立川支部は2013年12月、責任能力がないとして不起訴にした。同支部は同法に基づき医療的な措置を申し立て、東京地裁立川支部が鑑定入院を命じた。だが翌年2月に地裁支部は「治療の必要性がない」として男性を退院させた。

 男性側は、男性は事件前から知的障害や発達障害の診断を受けており、「投薬治療などで状況が良くなるわけではなく、入院の必要はなかった」と主張。同法が「医療を受けさせる必要が明らかにない場合」には申し立てを認めていないにもかかわらず、検察官や裁判所が入院の手続きをしたのは違法だと訴えている。

 男性の母親は、「知的障害者が問題行動をしたら、すぐ閉じ込めてしまうという風潮はおかしいと声を上げていきたい」と述べた。提訴について国は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(塩入彩)