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 東日本大震災の復興事業で行われた園芸ハウス建設をめぐる談合事件で、公正取引委員会は16日、農業設備大手5社に独占禁止法違反(不当な取引制限)で計6億円の課徴金納付命令を出した。また業者側に積算価格などを漏らしたとして、発注支援を請け負った宮城県農業公社(現みやぎ農業振興公社)に談合防止を求める異例の申し入れをした。

 発注者として談合を助ければ官製談合防止法に抵触する疑いがあるが、同公社が担当したのは発注業務の支援にとどまるとして、公取委は同法を適用しなかった。ただし、同公社の情報漏洩(ろうえい)を問題視し、申し入れという形をとった。

 課徴金の納付命令を受けたのは、井関農機(松山市)、大仙(愛知県)、イノチオアグリ(愛知県)、サンキンB&G(大阪市)、渡辺パイプ(東京都)。公取委は、三菱マヒンドラ農機(松江市)を加えた6社に談合防止を求める排除措置命令も出した。ヤンマーグリーンシステム(大阪市)も談合に加わっていたが、事前に違反を申告したため、いずれの命令も受けなかった。

 公取委によると、7社は津波被害に遭った宮城、福島両県の市や町などが2012~15年に発注した鉄骨製園芸ハウス建設などの入札約30件で、あらかじめ落札業者を決めて違法に受注を調整していた。受注総額は約200億円で、大半は復興交付金などの国費が使われている。

 このうち宮城県亘理町が発注した5件計約74億円の契約で、積算や設計など工事の発注支援業務を請け負った宮城県農業公社が、入札前に非公表の積算価格を業者側に漏らしていた。同県内の農業法人が発注した1件の入札では、入札参加業者に別の指名業者を事前に伝えていた。

 公取委はこうした情報漏洩について「談合を誘発、助長する行為」とし、同公社に「再び同様の行為が行われることのないよう適切な措置を講ずる」よう申し入れた。公取委幹部は「このような談合の構図で、委託先に要請をするのは前例がない」としている。(矢島大輔)