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 勝っても負けてもやめられない。瀬戸際で味わうジリジリと焼け焦がれるような感覚がたまらない――。カジノで106億円を失った井川意高(いかわもとたか)・大王製紙元会長は、自著「熔(と)ける」でこう書いている。

 家庭や仕事に問題が出ているのに、ギャンブルへの強い衝動を抑えられない「ギャンブル依存症」。依存症患者は緊張感や危機感で脳に変化が起き、ギャンブルの刺激に過剰反応するとの研究もある。

 2014年、厚生労働省の研究班は「536万人にギャンブル依存症が疑われる」と公表した。調査では「ギャンブルのために仕事をさぼったことがあるか」など、国際指標に基づく12項目に成人約4千人が答えた。5項目以上当てはまれば「疑いあり」で、4・8%が該当した。成人全体で536万人になる計算だ。諸外国の同様の調査では人口の1~2%前後にとどまり、日本はかなり高い。

 最大の要因はパチンコの依存症を含むからだ。全国のパチンコ店は約1万1千軒。法律上は「賭博」ではない「遊技」だが、景品を介して玉を換金できるため、回復支援に携わる関係者らは「日本のギャンブル依存症の大部分がパチンコだ」と口をそろえる。

 厚労省は、より詳細な実態調査を16年度中にまとめる。カジノ解禁法の付帯決議では、既存のギャンブルも含めた依存症対策の抜本的強化も明記された。パチンコや公営ギャンブルを所管する各省庁や厚労省は対策会議を立ち上げ、法制化をめざす。また、厚労省は17年度から治療の指導者養成を始め、各地の専門医療機関も5カ所から67カ所に増やす。ただ対策費は5倍に増えるとはいえ、年間約5億円。パチンコと公営ギャンブルの売り上げの計28兆円に比べてわずかだ。

 一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は、夫と自身がギャンブルや買い物の依存症に苦しんだ。「依存症は頭でわかっていてもやめられない病気。水ぼうそうの子がかゆみに耐えかね、だめとわかってもかきむしって悪化させるのと同じ感覚だ」と振り返る。

 同会は昨年12月に公表した声明文で、日本のギャンブル依存症対策の遅れを指摘した。パチンコや公営ギャンブルに対しても、年齢制限の徹底や広告規制、入場回数の制限、売り上げの一定割合の対策費拠出などを求める。「省庁を横断した規制と対策が必要だ。客に多くの金を使わせたい業界側の反発を、国がどこまで抑えられるか」

 一方、回復支援施設の草分けと…

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