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 環境省は、絶滅が危ぶまれる野生のニホンウナギの保全についての報告書案をまとめた。環境への被害がはっきりしなくても未然に手を打つ「予防原則」の考えを盛り込み、ウナギの稚魚が川や池を移動しやすいよう水路に40センチ以上の落差をつくらないことが望ましいなどとした。今後、意見公募を経て正式に公表する。

 ニホンウナギは国際自然保護連合(IUCN)が2014年に絶滅危惧種に分類した。養殖する場合も天然の稚魚が必要だ。乱獲や環境破壊が原因で減ったが、中国や朝鮮半島にも分布し、生態に未知の部分もある。だが報告書案は「一度絶滅すれば取り返しがつかない」として予防原則の考えから関係者が保全にとりくむことが重要とした。

 利根川や静岡・神奈川を流れる酒匂川、福岡の西郷川などの河川を対象にした環境省の調査で、川を横切る堰(せき)で40センチ以上の水位差ができると、全長24センチ以下の小型ウナギが川をさかのぼりにくくなることがわかった。そこで落差を40センチ未満にすることや効果的な魚道の設置が望ましいと指摘。海や川、ため池、水田などウナギのすみかになる「水域全体のつながり」の回復が重要だとしている。

 報告書案はまた、日本文化に深くかかわり、社会的な関心も高いニホンウナギを「シンボル種」にすることで、水辺の生物多様性の保全や回復が進むことが期待されるとしている。(小堀龍之)