[PR]

 米空軍嘉手納基地(沖縄県沖縄市など)の周辺住民が、米軍機による騒音被害の損害賠償や夜間・早朝の飛行差し止めなどを国に求めた第3次嘉手納爆音訴訟で、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)は23日、被害を認め、住民2万2005人に対して総額301億9862万円を支払うよう国に命じた。

 基地騒音をめぐる全国の「爆音訴訟」で過去最高の賠償額となった。将来分の賠償請求は却下し、飛行差し止めの請求は棄却した。

 判決は、米軍機の騒音による住民の被害を認定。基本となる慰謝料の月額は、うるささ指数(W値)95の住民1人に対して3万5千円、W値90は2万5千円、W値85は1万9千円、W値80は1万3千円、W値75は7千円となり、第2次訴訟の確定判決から2倍前後の増額が認められた。

 藤倉裁判長は判決理由で「第1次(訴訟)の判決確定から18年以上経過したが、米国や国による対策に特段の変化は見られず、違法な被害が漫然と放置されている」と批判。「騒音によって、会話やテレビ視聴、勉強などの妨害のほか、高血圧症のリスク増大も生じている」と指摘した。

 一方、原告が求めた米軍機の飛行差し止めについては、日本政府には米軍の行動を制約する権限はないとする「第三者行為論」などを理由に退けた。

 原告は沖縄本島中部5市町村の嘉手納基地周辺に住む住民で、2011年に提訴。判決時の原告数は2万2048人で、全国の「爆音訴訟」で過去最多。

 全国の米軍機の飛行騒音を巡っては、米軍横田基地(東京)や米海軍厚木基地(神奈川県)などで数回にわたり住民訴訟が起こされ、住民の被害を認める判決が定着している。米軍機の飛行差し止め請求は、いずれも退けられている。(小山謙太郎、吉田拓史)

菅長官「負担低減に全力」

 米空軍嘉手納基地(沖縄県沖縄市など)の周辺住民による第3次嘉手納爆音訴訟で、那覇地裁沖縄支部が国に総額301億9862万円の賠償金の支払いを命じる判決を出したことについて、菅義偉官房長官は23日午前の記者会見で、「国の主張に裁判所の十分な理解が得られなかった。関係省庁と調整の上、適切に対処したい」と述べた。

 菅氏は「米軍が訓練を通じて即応体制を維持することは必要」と強調。そのうえで、「航空機の騒音の影響に可能な限り配慮するよう米軍に申し入れるとともに、住宅防音工事など各種施策を通じ、住民負担の低減に全力で取り組んでいきたい」と話した。

     ◇

 〈嘉手納基地〉 沖縄県嘉手納町、沖縄市、北谷町にまたがり、4千メートル級滑走路2本を持つ東アジア最大級の米空軍基地。第18航空団のF15戦闘機や空中給油機など約110機が常駐し、2015年度の騒音発生回数は2万4千回。午後10時~午前6時の飛行は「米軍の運用上必要なものに制限する」とした日米協定があるが、15年度のその時間帯の騒音回数は1620回に及んだ。