[PR]

 韓国政府は、昨年4月29日にソウルで世界中の脱北者の結束を訴える初めての集会が開かれ、「北朝鮮亡命政府」の構想が浮上したことが、金正男(キムジョンナム)氏殺害事件の契機になったとみている。集会の主催者によれば、金正恩政権に対抗できる指導者として正恩氏の叔父の金平一(キムピョンイル)駐チェコ大使や正男氏の名前が挙がった。

 英国の脱北者団体「国際脱北民連帯」の金主日(キムジュイル)事務総長によれば、昨年6月までに計3回、人を介して正男氏と接触したが、正男氏は「亡命政府も世襲になる」として参加を拒んだ。昨年10月に平一氏にも接触を試みたが、同氏は返答せず、無視したという。「亡命政府」は実体を伴っていない。

 それでも脱北者には、今年4月にも「亡命政府」樹立に向けた宣言を望む声がある。北朝鮮関係筋によれば、こうした動きを察知した北朝鮮が正男氏に対し、息子のキム・ハンソル氏の大学卒業を機に、今年1月までに平壌に戻るよう要求。正男氏が拒んだため殺害に及んだ可能性があるという。

 韓国政府は南北統一を目指す政策を採っており、亡命政府の樹立は支持しないとしている。(ソウル=牧野愛博)