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 ニュースの映像を見るとき、その現場のただ中にいるような体験ができたらどうだろう。例えば戦場や大きなデモのさなか、あるいは世界的な祭り……。テレビの平面的な画面ではなく、前後左右上下、顔を向けるあらゆる方向が現場の映像で埋め尽くされ、人や動物が目の前にまで迫ってくる、そんな体験。バーチャルリアリティー(VR、仮想現実)報道は、それを可能にする。

 米CNNが報じた例は例えばこうだ(http://edition.cnn.com/vr別ウインドウで開きます)。

 2006年のシリア、最大の都市アレッポにある華やかな商店街。多くの人々が行き交い、売り買いが盛んに行われていた。上下左右前後の全方向を撮影できる全天周カメラで記録したその映像を、VR用ヘッドマウントディスプレー(HMD)を頭に着けて再生すると、どの方向を向いても活気ある様子が見て取れる。

 その生き生きした街の映像が突然、2016年のそれに変わる。激しい内戦の結果、たたき潰されたように倒壊した建物の残骸、崩れ落ちた壁。破壊の傷痕があらゆる方向から目に飛び込んでくる。街並みの輪郭だけは同じで、元の華やかな商店街だということは一目瞭然だ。視聴者は変わり果てた風景に囲まれ、慄然(りつぜん)として立ち尽くすことになる。

 CNNは、ワシントンやニューヨーク、東京、香港など、12の局にVR撮影チームを配置し、VRコンテンツの本格的な製作・配信に力を入れている。2月に来日した同社VR部門担当副社長ジェーソン・ファーカスさんに、VRの持つ大きな可能性と特有の課題について聞いた。

 「VRは、非常に大きなインパクトを与えられる伝達手段だ。きわめてリアルで、視聴者自身がそこに身を置いているかのような体験ができる。シリアの戦火の中で暮らしている人々の姿を伝えたVR報道では、『泣いてしまった』という反響が視聴者から寄せられた。この報道には誇りを持っている」

 ほかにも印象的な事例は多い。たとえばスカイダイビング。見上げれば青空、見下ろすとはるか先に大地、目のくらむような空の上で、スカイダイバーたちが上下左右斜めのあらゆる方向から近寄り、離れ、舞うように降下していく。自分自身も地面に向けて落ちていくかのようで、肌があわ立つ。

 あるいはスペインの牛追い祭り。たけり狂う牛たちが街なかを疾走する。その牛が鼻先をかすめるように走り抜けていくのだ。どれも360度映像をVRで見なければ感じ取れない迫力だ。

 圧倒的な迫真性と臨場感を誇るVRだが、「取材には独特の難しさがある」とファーカスさんは指摘する。まず、周囲のすべてが映ってしまうため、カメラマンがそばにいてはいけないのだ。

 「カメラをその場に置いて去るか、あるいは群衆の中で頭部などにカメラを取り付けて撮影することになる。それは技術的に相当難しい」

 もう一つ指摘するのは、「撮影対象の向き不向きの差がきわめて大きい」という点だ。

 具体的には、インタビューなど…

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