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 突然、故郷から引き離され、慣れない土地で生きる避難者が、心ない言葉や態度に胸を痛めている。東京電力福島第一原発事故から6年。朝日新聞社と福島大学の今井照教授が実施した避難者への共同調査には、いじめや差別に関する多くの訴えが寄せられた。

 埼玉県東部。第一原発が立地する双葉町から避難する女性(63)は夫と2人で暮らしてきた。近くで農地を借り、コメ、ネギ、ジャガイモなどを育て、直売所で売るのが日課だ。

 自宅は原発から2・5キロ離れた場所にあった。30年以上、繁殖用の牛を育て、牛舎を増築していた矢先の原発事故。「悔しくて、悔しくて」。無人の町に牛50頭を残したまま、避難を余儀なくされた。自宅は放射線量が最も高い「帰還困難区域」にあり、除染廃棄物を運び込む中間貯蔵施設の予定地だ。それでも、「いつか牛を追いかける日々がまた来るかも。家にこもっていないで農作業をして体力をつけないと」。日の出とともに、畑仕事に取り組んできた。

 だが、福島県の「いわき」ナンバーの軽トラックを畑の脇にとめて農作業をしていると、見知らぬ人にこう声をかけられることがある。

 「なんで、まだ福島に帰らないの? いつまで埼玉にいるの」

 「いくらぐらい賠償金をもらえるの」

 一度や二度ではない。夫は腹を立てたが、女性は淡々と説明した。「すみません、帰る所がないんです。もう少し、ここにいさせていただけますか」

 2年前の冬。畑でしゃがみ込んでいた見知らぬ年配の男性に、こう言われた。

 「この畑の避難者は、ずいぶん賠償金をもらっていて、一つ二つとっても大丈夫なんだ」

 自分の畑だと言えないまま、ネギや白菜を取って立ち去る男性を見過ごした。

 野菜の直売所で「がんばって」…

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