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 東京都の豊洲市場(江東区)の土壌汚染対策工事を巡り、交渉初期の2001年、土地所有者の東京ガスと都の間で、汚染処理の範囲などについて公になっていない合意があった可能性があることが、都の開示文書や関係者の証言からわかった。土地の売却に慎重だった東ガスとの交渉が一転して加速するきっかけとなったとみられる。

 「取扱注意」と記された03年の都と東ガスの交渉記録によると、売却前に広範囲に汚染土壌を除去するよう求める都の担当者に、東ガスの担当者は再三、01年の約束を持ち出して反論した。

 「01年7月の『2者間合意』で、土壌汚染対策は今の計画で良い旨確認した」「文書で約束すると文書開示の話もあるからということで、口頭でいろいろ確認させてもらってきた事実もある」(5月29日)

 「合意」の詳細は交渉記録に残っていないが、東ガス側は「2者間合意」と「(土壌汚染を巡る)Q&A形式のやりとり」の存在を強く示唆している。

 99~01年に都中央卸売市場長だった大矢実氏は、朝日新聞の取材に「2者間合意という文書があるうわさはあった」と明かした。文面は見たことはないというが、関わったのは交渉担当の副知事だった浜渦武生氏と東ガス首脳と話している。

 東ガス工場跡地の取得交渉は、当時の石原慎太郎知事が浜渦氏を担当にしてから大きく動いた。開示文書によると、浜渦氏は00年10月、東ガスを訪れ、土地価格や開発者負担について「水面下でやりましょう」と持ちかけ、01年7月には「基本合意」にいたった。「基本合意」に汚染処理を巡る文言はない。

 01年以降、何度も土壌汚染がみつかり、都はその度に東ガスと汚染処理の範囲や負担を協議し、最終的に860億円を投じることになる。なぜ、汚染が残る地に市場を造ったのか。石原氏は3日、記者会見し、19、20日には都議会調査特別委員会(百条委員会)の証人喚問で、石原氏と浜渦氏が証言台に立つ。

 「2者間合意」などについて、浜渦氏は1日、朝日新聞の取材に「百条委の前に話すことはできない」と話した。(小林恵士、別宮潤一)