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 においは記憶と密接に関わる。例えば、アルツハイマー型認知症の患者は、もの忘れの前ににおいが分からなくなることが多い。記憶に関わる脳の海馬が萎縮するより先に、鼻の奥にある嗅(きゅう)細胞に異常が生じるからだと考えられる。

 ここに注目して認知症の予防につなげる研究に取り組むのが鳥取大教授の浦上克哉さんだ。嗅細胞はいったん傷んでも再生しやすく、においによる刺激で、ひいては海馬の萎縮を防げるかもしれないという。

 実験を繰り返して見つけたのが植物から抽出したローズマリー・カンファーとレモンを混ぜた精油だ。鎮静作用のある別の精油と2種類をアルツハイマー型認知症の患者に毎日2時間ずつ1カ月間、嗅いでもらうと、認知機能の改善がみられた。ただ、嗅ぐのをやめると再び悪化したという。

 順天堂大などはパーキンソン病の患者に食べ物などのにおいを嗅がせて、何のにおいか特定させる臨床研究を先月から始めた。嗅覚(きゅうかく)を鍛えれば、認知機能の改善が期待できるかもしれないという。非常勤助教の小川真裕子さんは「根本的な治療法がない中、症状を改善させる方法を探りたい」と話す。

<アピタル:1分で知る・におい>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/minute/(石倉徹也)