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 南米ベネズエラの最高裁は29日夜、野党が多数を占める議会の立法権を今後は最高裁が行使するとの判断を示した。最高裁は反米左派のマドゥロ政権と距離が近く、これまでも議会決議を何度も無効と判断してきたが、今回は立法権そのものを最高裁に付与する異例の判断。国内外から「憲法を無視したクーデターだ」との非難が高まっている。

 深刻な経済危機や治安悪化に直面するなか、議会は責任がマドゥロ大統領にあるとして昨年から罷免(ひめん)を求めてきたが、最高裁はこうした決議を無効化してきた。今回の司法判断で議会の権限が失われたことにより、ほぼ全ての権力がマドゥロ氏を中心とする与党に集中することになった。

 報道によると、最高裁は2015年の総選挙で不正をした議員が含まれていたことを理由に、「侮辱罪にあたる状態が続く間は議会の手続きは無効で、最高裁が立法権を行使する」と判断。マドゥロ氏は「歴史的な判決。制度や平和を守り、攻撃を撃退する特権を与えられた」とたたえた。

 議会のボルヘス議長は「議会はこの判決を受け入れない。マドゥロ(大統領)がクーデターを行った」と批判。野党指導者のカプリレス氏は国際社会に向け「ベネズエラで独裁が起こっている」と訴えた。

 米国は「民主的に選ばれた議会の権限を奪うものだ」と非難。メキシコやブラジルなど中南米諸国も一斉に懸念を表明し、ペルー政府は「民主主義の秩序が破壊された」として駐ベネズエラ大使の呼び戻しを決めた。米州機構のアルマグロ事務総長は最高裁の判断を「議会に対する自主クーデターだ」と批判した。

 同国では13年のチャベス前大統領の死去後、マドゥロ氏が政権を継いだが、無理な価格統制や主要輸出品の原油の価格下落で経済が急速に悪化。物不足で商店の前には日常的に行列ができ、治安悪化も深刻化している。15年の総選挙では野党連合が与党に圧勝したが、マドゥロ氏は議会と対立を続けている。(ワシントン=田村剛