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 憲法改正運動を進める団体「日本会議」の成り立ちなどを書いた書籍「日本会議の研究」の販売差し止めを命じた東京地裁の仮処分決定に対し、出版元の扶桑社が保全異議を申し立てた審理で、同地裁(中山孝雄裁判長)は31日、仮処分を取り消す決定を出した。同社は仮処分決定後、指摘された箇所を抹消した修正版を販売していた。修正前の本を再び販売するかは「検討中」という。

 同書は菅野完(すがのたもつ)氏が執筆し、日本会議と関係が深いとされた宗教団体元幹部の男性が販売差し止めを求めていた。1月の仮処分決定は、男性についての記述の一部が「真実ではない可能性が高い」として、この部分を削除しない限り販売しないよう同社に命じた。異議審の決定は「出版物の差し止めは、真実ではないことなどが明白の場合に例外的に許される」と指摘。問題とされた部分について「真実ではないことが明白であると認めるのは困難」とした。

 同社は「弊社の主張がご理解いただいたと受け止めている」とコメント。男性の代理人の弁護士は「(今回の決定は)取り返しのつかない重大な人格権侵害を等閑視(とうかんし)した違法で不当なものだ」として、東京高裁に抗告する意向を示した。(塩入彩)