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 駅前でポーズをとって静止する「マネキンフラッシュモブ」のパフォーマンスをした神奈川県海老名市議に対し、市が禁止命令を出したのは表現の自由を保障した憲法に違反するなどとして、市議らが命令の取り消しなどを求めた訴訟で、横浜地裁は8日、命令を取り消す判決を言い渡した。大久保正道裁判長は、命令の根拠となった条例の適用を市が誤ったと判断した。

 マネキンフラッシュモブとは、参加者が衣装を着てポーズをとり、プラカードを持ったままマネキンのように静止するパフォーマンス。吉田美菜子市議(33)らは昨年2月、海老名駅前の通路で、「アベ政治を許さない」などと書いたプラカードを持ってこのパフォーマンスをした。

 市は、駅前通路での集会やデモを原則として禁止した駅自由通路設置条例に違反するとして、無許可のパフォーマンスを禁じたうえ、従わない場合は過料の支払いを求める内容の命令を同年3月に出していた。約10人でパフォーマンスをしたのに吉田市議だけが命令を受けたことについて、市の担当者は「サングラスをしている人ばかりで個人を特定することが難しかったが、吉田市議は参加したことを認めていた」と説明している。

 判決は、条例が禁じる集会やデモは往来に著しい影響を与える恐れが強いことを前提にしているが、今回は「10人程度で数分程度ポージングを繰り返しながら、移動したに過ぎない」などとして、条例の適用は誤りだとした。禁止命令を出さないことを市に求めた差し止め請求は、「命令が行われる蓋然(がいぜん)性は認められない」として却下した。

 吉田市議は判決後の会見で、「権力にノーと言う行動に大きな励みになる」と話した。代理人の大川隆司弁護士は「現代社会の宣伝活動の多様化に応じて、表現の自由が保障されることを確認した画期的な判決」と支持した。(古田寛也)